永谷正樹のなごやめし生活

「なごやめし」について書き綴ります。

企業秘密。

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「それは、“企業秘密”ってことで」

数えるくらいしか経験していないが、取材中にその一言を耳にすると、思いっきり萎える。テンションはダダ下がりになり、それ以降はイケナイとは思いつつも、機械的な質問になってしまう。

萎えさせる一言が飛び出すのは、タレやソース、スープなどの中身を聞いたとき。よほど特別なものを使っているのなら話は別だが、そんなのは稀。

「企業秘密」とするのは、記事を見た同業者にマネをされるかもしれない?

いや、それはあり得ない。なぜなら、タレやソースに使っている調味料を聞いただけで、味を完コピできるほどの腕の持ち主であれば、わざわざ他店のマネをしなくてもすでに人気店を営んでいるはずだから。

あれはフードライターとして仕事をはじめたばかりの頃だった。逆にこっちが心配になるくらいアケスケに話してくれる料理人もいた。

「そこまで話しちゃってイイんですか?」と聞いたところ、

「話したところで、まったく同じ味を作ることなんてできませんから」と、そのシェフはおっしゃった。そりゃそうだ。そもそもレシピを聞いているのではないんだから。完コピできるわけがない。

テレビの世界では「企業秘密」というフレーズは有効かもしれない。モザイクのかかった材料でタレなりソースなりを仕込めば、視聴者にそれが特別なものとして映る。取材において「企業秘密」がまかり通っているのは、テレビにも責任があると思う。

私もよく人に聞かれることがある。

「どうやって美味しいお店を見つけるんですか?」と。

あっ、それは「企業秘密」ってことで。

やっぱり、萎えるでしょ(笑)。