まずは告知から。
『東洋経済オンライン』にて、「きしめんを、本当においしい名古屋のソウルフードへ」をテーマに掲げてオープンした『星が丘製麺所』を紹介させていただきました。
ご多忙中にもかかわらず取材にご協力いただいた堀江さん、太門さん、ありがとうございました!
さて、この記事をご覧いただいた方からTwitterでDMをいただきました。
内容を要約すると、以下の通り。
1.駅ホームの立ち食いのきしめん店を否定されると寂しい
2.技を突き詰めた本物ばかりが名古屋めしではない
3.切れてしまうきしめんも喫茶店の味噌かつ定食もアリだと思う
順番にお答えしようと思います。
まずは、1。別に否定しているつもりはないんですけどね。私も旨いと思います。ただ、名古屋でよく耳にする「駅のホームのきしめんがいちばん美味しい」という話。たしかに美味しいけど、私はいちばんとは思いません。
「いちばん美味しい」とおっしゃる方は、はたして麺類食堂できしめんを食べたことがあるのでしょうか。
実は私も「駅のホームのきしめんがいちばん美味しい」と思っていたことがありました。やはり、その頃はきしめんの旨さをわかっていませんでした。美味しいと評判の店で食べたとき、考え方が大きく変わったのです。
駅ホームの立ち食いのきしめん店や地元チェーンの『どんどん庵』、『長命うどん』のポジションは、讃岐うどんチェーンの『丸亀製麺』や『はなまるうどん』と同じだと思います。
香川県の人は「『丸亀製麺』がいちばん美味しい」とは言わないでしょう。それは、本場の讃岐うどんの美味しさを知っているからにほかなりません。
でも、名古屋では「駅のホームのきしめんがいちばん美味しい」という話を本当によく耳にします。逆に、私はそれが不思議でなりません。
2と3も、「本物以外は認めない!」とは言っていません。冷食のとんかつに「つけてみそかけてみそ」をかけただけの味噌かつ定食もアリだと思います。それも「名古屋めし」ですから。
再び駅ホームのきしめんの話になりますが、記事にも書いた通り、駅ホームの店は業務用の冷凍麺を使っています。にもかかわらず評判なのは、駅や立ち食いというシチュエーションだったり、さまざまな要因があります。もちろん、企業努力の結果だともいえます。
麺類食堂も儲けようと思ったら、業務用の冷凍麺で済ませればよいのです。でも、彼らは使いません。「業務用の冷凍麺を使うくらいなら店を閉める」と言うと思います。
彼らは気の遠くなるような面倒くさい作業を毎日毎日当たり前のこととしてこなしています。しかも、職人ゆえに自分のやっていることを大っぴらに語ろうとしません。
彼らの努力は報われるべきだと思うのです。だから、私はフードライターとしてメディアを通じてそれを伝えているのです。
記事で紹介した『星が丘製麺所』がすごいのは、製麺機と瞬間冷凍という現代の技術を活用して手打ち麺とほとんど変わらないクオリティの麺を生み出したところにあります。これも高度な手打ちの技術が背景にあったからできたのです。
「かけきしめん」であれば、1コインで楽しめます。是非ここのきしめんを食べてみてください。そうすれば、駅ホームのきしめんも違った角度から見ることができると思います。
メッセージをありがとうございました。