永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

さらば、キヤノン。

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単行本の原稿執筆6日目、のはずだった。

でも、思いきって、今日はオフにすることに。汚部屋になりつつある仕事場の片付けと整理整頓をした。よく仕事はよい仕事環境で。そう言い聞かせながら、散らかっていた書類や撮影機材を片付けた。

私は、料理の撮影はキヤノン、人物の撮影はソニーと、2つのメーカーのカメラを使い分けている。料理も人物も撮影する場合は、両方のカメラとレンズを用意する。これがかなり面倒くさい。当然、カメラバッグも重くなる。

ずっと、ソニーで統一しようと思っていたものの、撮影の仕事がちょこちょこ入ると、なかなか踏み切れなかった。ところが、今は単行本の原稿執筆しか仕事を入れていないので、これを機にソニーに一本化することに決めた。

キヤノンのカメラとレンズを売って、また新しい機材を買おうと思っている。そのためにはクリーニングをして、箱に詰めねばならない。要は購入時の状態に戻すのだ。

キヤノンのカメラには何の思い入れもないし、ただの道具だとずっと思っていた。が、カメラとレンズをクリーニングしていると、いろんな思いが頭を過ぎった。

思えば、14歳のときに生まれて初めて手にしたカメラもキヤノンだった。学生の頃も、修行時代も、フリーになってからも、ずっと。感慨深いものがあるが、売らずに手元に置いておきたくなるようなカメラを作ってこなかったのはキヤノンにも問題がある。

キヤノンから心が離れていった決定的な出来事は、プロサービスの窓口が名古屋から撤退したことだ。今は東京と大阪しかない。つまり、名古屋のプロは相手にされていないのだ。私はそう受け止めた。

ソニーは名古屋にもプロサポートの窓口もある。修理した場合、代替機も出してくれるし、機材のレンタルもできる。よいことばかりなのである。もっと、もっと、ソニーのカメラが自分の目になってくれるように使い倒す所存である。

機材がガラッと替わるように、人間関係もガラッと替わることだってある。先月も今月も沢山の仕事を断った。それはもちろん、単行本の原稿に集中するためだ。

単行本が完成したとき、断っていた仕事が私ではなく、他の誰かに替わっているかもしれない。そんな不安もないといえば、ウソになる。しかし、その仕事は私でなくても誰でもよいということにほかならない。

私がキヤノンのカメラを必要としなくなったと同様に、その編集担当やクライアントも私のことを必要としなくなっただけである。去る者追わず、だ。