永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

踏み絵。

自民党総裁選。

自民党を支持していない私にとって、誰が総裁になろうと世の中は変わらないと思っているので、総裁選なんぞはどうでもよい。

ただ、気になったことがあった。

自民党の中ではリベラルとされてきた河野太郎が、皇室について語りだしたのである。

それは、保守層(私はまったく保守とは思わないが)からの支持を狙っての発言であることは間違いない。

保守層から人気を集めているのは、高市早苗。彼女は昔から保守層にとって耳障りのよいことをずっと発信し続けてきた。

憲法改正。皇位継承は男系男子。靖國神社への公式参拝。北朝鮮拉致被害者救出。反中。反韓。

自民党が下野したとき、安倍晋三は演説や講演会、テレビなどでこれらのことを訴えてきた。結果、保守層からの支持を集めて自民党の総裁となった。

安倍晋三は、首相に就任して1年後、第一次安倍政権でできなかった靖国神社参拝を行った。終戦の日ではなく、12月26日に。

保守層は拍手喝采だった。ところが、アメリカにそれを咎められてから、首相在任中は玉串の奉納のみで、ただの一度も行っていない。

さすがに中韓からの反発は予想していたと思う。そうなれば、逆に保守層からの支持がより強固なものになる。一石二鳥とはこのことだ。

しかし、アメリカがしゃしゃり出てくるとは思わなかったに違いない。飼い主に怒られた犬のごとく大人しくなってしまった。

憲法改正や男系男子による皇位継承は先送り。北朝鮮拉致被害者救出もまったく進展せず。

では、安倍晋三は何をヤッたのか。

北方領土をロシアに献上。外資による水道の民営化。カジノ推進。外交という名の金のバラマキ。公文書の改ざん&隠蔽。

いや、保守でも何でもないだろ、それ。

私からすれば、これほどシンプルでわかりやすい売国政策はないと思うが、保守層に言わせりゃ些細なことらしい。

憲法改正や男系男子による皇位継承を錦の御旗として掲げているのは自民党だけだから、反対できないだけだろ。何度も言うが、錦の御旗は実現したのか。

おまけに新型コロナやオリンピック開催が手に負えないとわかると、「お腹が痛い」といってドロップアウト。

しかし、保守層は安倍晋三を愛国者だという。私にはまったく意味がわからない。

憲法改正。皇位継承は男系男子。靖國神社への公式参拝。北朝鮮拉致被害者救出。反中。反韓。

これらを声を大にして言えば、保守層はコロッと騙されるのだ。そりゃ、高市早苗も乗っかるし、河野太郎も変節するだろう。

つまり、憲法改正や皇位継承問題は、「踏み絵」なのだ。気づいていないと思うが、それは保守層が自らそのシステムを作り上げたのだ。

本来ならば、憲法改正や男系男子による皇位継承など、ほとんどすべてを先送りにした安倍晋三は糾弾されるべきだろう。にもかかわらず、また「踏み絵」で選ぼうとしている。あまりにも愚かすぎる。

私が次の自民党総裁に期待するのは、国民にウソをつかないこと。それだけ。