永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

「好き」が文化を構築する。

写真は、先日ヤフオクで買ったクラシックレンズを使って撮影した一枚。これはアプリで彩度や周辺光量などを加工している。普段はあまり画像加工はしないんだけど、なんとなくしてみたくなった。

今日撮影したのは、ほんの数枚だけどむちゃくちゃ楽しい。っていうか、今日の昼は撮影の仕事で、この写真は夕方帰宅したときに玄関前にある鉢植えの花を撮影したのだった。どれだけ好きなんだ!と、自分でツッコんでみる(笑)。

そのとき、ふと思った。写真が好きで好きでたまらない人たちが時代ごとにいて、彼らの創作活動の積み重ねによって構築されたのが文化である、と。

大げさかもしれないが、玄関先の花にレンズを向け、撮った写真をアプリで加工する行為も文化の一翼を担っているのだ。

それは、料理の世界も同じこと。料理が好きで好きでたまらない人たちが考案したレシピをなぞりつつ、新しいスタイルを確立させていく。そして次の世代の者がさらに進化させる。すごく面白いし、夢やロマンがある。

ある料理人からこんな話を聞いた。名古屋市の某所に期間限定の飲食店、それもミシュランに掲載された有名店の姉妹店がオープンしたらしい。店へ行き、料理を食べてみると、たしかにその店の味がする。上中下で判断すると、限りなく上に近い中。

ところが、厨房で作業をしているのはアルバイトばかりで料理人の姿はどこにも見当たらない。そこでわかったのは、料理はすべてアルバイトでも調理できる状態にしてあるということ。例えば、スープは濃縮してあり、お湯で薄めるだけ、みたいな。

期間限定という稀少性とミシュラン掲載店という話題性もあり、集客につながるだけではなくメディアも取材にくる。ビジネスの戦略としては目を見張るものがある。

しかし、その店で文化を形成するための人材は育たない。というか、育ちようがない。金儲けが悪いと思ってはいないが、釈然としないものがある。人材育成、ひいては文化の継承とビジネスは両立できないのだろうか。