永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

街頭アンケートと洗脳ビデオ。

安倍元首相を銃撃した犯人の動機が明るみになる中、統一教会が注目を集めている。統一教会といえば、合同結婚式が有名?で、今から30年ほど前に芸能人やアスリートが参加したことでワイドショーを賑わせたことがあった。

それよりも5年ほど前、私が高校生の頃は、金山駅界隈で統一教会の信者と思われる人が「アンケートにご協力をお願いします」と、道行く人に声を掛けている姿をよく見かけた。皆、目はうつろで悲壮感が漂っていて、そのさまは高校生の私から見ても「洗脳」されているように映った。

あの日、なぜ私は金山駅にいたのかよく覚えていない。一緒にいたのは、先輩のA立さんだった。彼はこのテの話に詳しいようで、アンケートを呼びかけているのは統一教会の信者であることを教えてくれた。

「アンケートに答えたら、教団の施設へ連れて行かれてビデオを見させられるんだよ。それが“洗脳ビデオ”らしい」と、まるで自分が体験したかのように語った。

そのとき、若気の至りなのか知的好奇心からなのかはわからないが、なぜか無性に洗脳ビデオを見てみたいと思った。オレ様を洗脳できるものならやってみろ!と、イキっていたのかもしれない。

そこで私とA立さんは、信者に近づいて声を掛けられるのを待つことにした。声を掛けられたら何と答えようか。頭の中で何度もシュミレーションをした。ナンパ待ちのギャルの心境と同じだろう。

ところが、声を掛けてほしいオーラを全開にしていても、近寄ってすら来ない。絶対に視界に入っているはずだ。痺れを切らせたのはA立さんだった。アンケート用紙を持つ信者にツカツカと近づき、

「アンケート。答えさせてください!」と直訴したのだ。信者は明らかに困惑している。何やら話をしているが、こちらからは聞こえない。A立さんはがっかりした表情で戻ってきた。聞いてみると、未成年はアンケートの対象外と言われたらしい。

当時は何とも思わなかったが、今思えば未成年が入信して保護者が騒いだら問題になるからだろう。さらに驚いたのは、その後。金山駅前に5、6人はいた信者が1人もいなくなったのだ。

神様だろうが仏様だろうが、信仰を持つことは悪いこととは思わない。しかし、自己破産に追い込まれるまで献金を求めるというのは、はたして信仰と呼べるのだろうか。人よりも多くの金を払ったら救われるのが真理だとしたら、金持ちしか救われないことになる。おかしいだろ、そんなの。

宗教には金だけではなく人も集まってくる。そこにハイエナのように群がってくる政治家もいる。それが政権与党だったりするから、この国は腐ってる。