永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

マクロレンズ。

フリーになったばかりの頃、某週刊誌の編集部を訪ねたときのこと。作品を見たグラビア担当の編集者は「是非、一緒に仕事をしましょう」と言った。

それは社交辞令ではなく、1ヶ月も経たないうちに仕事をくださった。モノクログラビアページの企画で、その年に完成したばかりの大阪ドームとナゴヤドームの撮影だった。

すごく嬉しかったし、ありがたいと思ったが、同時に困ったことも。当時はまだ駆け出しだったこともあり、ドームの全景を撮影できる超広角のレンズを持っていなかったのである。

「レンズを持っていないから撮影できません」なってことは死んでも言えない。言えるはずがない。だから買うことにした。17-35mm F2.8というレンズ。たしか17万円くらいだったと思う。

もちろん、ギャラをもらっても赤字だったが、そのレンズはフィルムからデジタルに移行するまで大切に使ったから、結果的に元は取ったといえるだろう。

で、昨日のこと。あるwebメディアの編集部から、

「超精密部品もあるので、マクロレンズをご用意しておいた方がよいかもしれません」との連絡があった。

以前は料理写真にマクロレンズを使っていたが、ソニーに機材を替えてからは、ある程度寄ることができるズームレンズを使用している。ソニーEマウントで欲しいと思うマクロレンズがまだ発売されていないからだ。

でも困った。ドームを撮影したときの17−35mm F2.8と違って、マクロレンズを買ってもおそらく出番はない。だからといって「レンズを持っていないから撮影できません」とは言えないし。

プロサポートで借りるという手もあるけど、どうしようか悩み中。