永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

次男、帰る。

先週15日、大学の卒業式に出席するため帰省した次男が今日帰っていった。

「天ぷらが食べたい」という次男のリクエストに応えて昼食は『光村』へ。今日は私と女房の29回目の結婚記念日でもあるので、仕事が休みの女房も連れて行った。

次男はスーパーの惣菜かセルフうどんくらいでしか天ぷらを食べたことがなかったので、

「こんなに美味しい天ぷらは生まれて初めて!」と大喜び。

幼い頃の私と同様に、次男もまた食べ物の好き嫌いが多かった。しかし、これまた私と同じく、成長するとともに色んなものが食べられるようになった。次男よ、今まで知らなかった味を知るというのも人生の喜びの一つなのだよ。

その後、自宅へ戻り、関東にある次男の部屋に送るものや持ち帰るものをまとめた。15時頃、ソファで昼寝をしていた私は次男に起こされた。

「そろそろ帰るから」と次男。ふと、仕事場の机に目をやると、女房がラッピングしてくrたフォトブックが置かれていた。女房がここへ持ってきたのだろう。

フォトブックを持って玄関の方へ行くと、次男は荷物を女房の車に運んでいた。あ、前回は私が名古屋駅まで送ったので、今回の見送りは女房に任せたのだ。

荷物を積み終えて玄関へ戻った次男にフォトブックを渡すと、なんと次男も私と女房それぞれに手紙を渡した。そんなの、反則だろ。私はいったいどういう顔をすればよいのだ。不意に熱いものがこみ上げてくる。

次男を見ると、すでに号泣していた。子供のように声を上げて泣いていた。私は次男を強く抱き締めた。やはり、ハグしたときに伝わってくる、たとえようのない温もりとやわらかさは子どもの頃と何ら変わりがなかった。涙でグチャグチャの女房にもハグを促し、女房も次男を抱き締めた。

自宅に一人残された私は、次男からの手紙を読んだ。その一部を紹介する。

「スタジをを借りて写真撮りに行ったの、10月だったんだね。もう5ヶ月も経っていて驚いたよ。あの日はかけがえのない日でした。お母がウルウルしていた時は僕も頑張って涙を堪えていました。『お母、幸せよ♪』と言っていたのが、ああ自分が生きているだけで喜んでくれる人がこの世にはいてくれるんだと嬉しくなった」

そう。親は子どもが生きているだけで嬉しいのだ。親になる前にそこに気がついた次男は幸せになるしかない。

手紙には「お母を泣かせるな」と私への説教も書かれていた。私は人として至らないところだらけなので、自分の子供に説教されるのが私の夢だった。次男は私の夢を叶えてくれた。これからもどんどん説教してくれ。それでよい。それでよいのだ。

次男よ、どうか、私よりも、女房よりも幸せになってくれ。