永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

とじないカツ丼。

玉子でとじないカツ丼が人気らしい夕方、原稿を書きながら見ていたテレビのニュースで紹介されていた。

とじないカツ丼とは、低温調理した分厚い肉に衣をつけて揚げたとんかつをスクランブルエッグのような半熟で、だし入りの玉子焼きに覆われたご飯の上にのせたカツ丼である。

まぁ、それはアリといえば、アリだな。そう思って見ていたが、一瞬にして私の中ではナシに変わってしまった。

それは、ソースや丼つゆ、バジル、タバスコ、七味唐辛子、わさび、カラシ、柚子胡椒といった味変アイテムが豊富に揃っていることをどうだ!とばかりに紹介していたからだ。

同じ味変でも、ひつまぶしのような、ベースを変えないものや、焼肉店のタレや塩のように、より味を引き立たせるものならアリだが、メニューはカツ丼。ここまでくると店の意志というか、作り手のこだわりはないのかと思ってしまう。

例えば、ですよ。卓上にしょうゆや味噌、塩などがずらりと並んでいて、客が自由に味付けできるラーメン屋があったとしたら、それ、楽しいか!?その店のご主人が作り上げた味を楽しみたいではないか。

そもそも、とじないカツ丼は今はじまったものではない。トップの写真をご覧いただきたい。えっ、とじてるじゃないかって?いやいや、これ、とじてないですよ。

揚げたてのとんかつをご飯にのせて、さらにその上に丼つゆで味付けした玉子をのせてあるのだ。ゆえにサクサク感も楽しめるし、時間が経つとともに衣につゆが染みていきくので、また違った味わいになるのだ。

詳しくは↓このブログ記事をご覧ください。

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ご飯を食べに行ってお金を払うのは、料理の技術や接客への対価だと私は思っている。味変を楽しみたければ、家で思いっきりやればよい。