一昨日11/10のブログ「元祖VS本店」を書いていて、気がついたことがある。主旨が異なるため、その日には書かなかったが。
それは、なぜ名古屋で汁なし担々麺を出す店が増えていったのかということ。
「食べログ」でエリアを「名古屋市」、キーワードを「担々麺」で検索すると、88軒もの店がヒットする。担々麺を出す店の多くは、汁なし担々麺も用意しているので、名古屋市内で汁なし担々麺を出す店は他の地方と比べて尋常ではないほど多い。それはなぜだろう。
結論から言えば、名古屋の人々に支持されたからである。もっとも、『想吃担担面』が名古屋駅地下街エスカにオープンした20年前は、その評価は惨憺たるものだった。
10/3のブログ「汁なし担々麺。」にも書いたが、汁なし担々麺を注文した客が「なんで辛いんだ!」と怒り出したこともあったという。
しかし、その味は一度食べたら強烈に脳裏に焼き付き、しばらく経つとまた食べたくなる中毒性があった。あんかけスパのように2回、3回と食べるうちにハマっていくのである。『想吃担担面』の場合、2年間の赤字続きをひたすら耐えて、ようやく芽が出たのだ。
では、なぜ名古屋の人々に支持されたのか。先に例として挙げたあんかけスパや台湾ラーメン、味噌煮込みうどんのように名古屋人は濃厚な味わいが好きだからだろう。それ以外、考えられない。
そのルーツを辿ると、豆味噌文化に行き着くのだろうが、とにかく濃い味が大好きなのである。しかし、『想吃担担面』の中島社長はそれを狙っていたわけではない。日本で担々麺といえば、汁ありを思い浮かべるが、本場、中国・四川の担々麺は汁なしがスタンダードであることを伝えたかったのだ。
汁なし担々麺は、芝麻醤とラー油、中国山椒のバランスが命。ゆえにさまざまな香辛料を加えた自家製ラー油を使用している。辛さの中に複雑に入り組んだ味や香りがクセになるのである。
名古屋は豆味噌文化だから、豆味噌を使ったラーメンがそこら中で提供されていてもおかしくはない。が、実際には少ない。それは、味噌煮込みうどんや味噌かつなど昔から食べられている味噌を使った料理と同レベルに達していないからだ。
汁なし担々麺を名古屋めしに「認定」してしまう暴論も見かけるが、正しくは、豆味噌文化によって醸成された濃い味を好む名古屋人の味覚が汁なし担々麺を育んだのである。そこにローカルフードの楽しさがあるのである。