11月22日(木)、私が撮影した写真を無断使用した居酒屋運営会社を相手に提訴した少額裁判を前に、相手方の弁護士から「答弁書」が届いた。
「答弁書」とは、私が裁判所に提出した「訴状」に対する相手方の言い分をまとめた書類のことだ。
答弁書を読んで、思わず目を疑った。結論から言うと、相手方の言い分は以下の通り。
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
つまり、真っ向から争うということである。私の請求が不服だからこそ、争うと決めたのだろうが、その理由もしっかりと書いてあった。
まず、無断使用した写真について相手方の見解はこうだ。
この写真について原告が著作権を有している事実はないと考えられる。
この写真は、一般に市販されている通常の「◯◯◯(料理名)」を撮影したにとどまる写真であり、「文化的な創作物である著作物を制作した」というものではないから、著作権法による保護の対象ではないと考えられる。
また、著作権法による著作権の登録もされていない。
私が私の所有するカメラや照明機材を使って撮影した写真に「著作権を有している事実はない」と主張しているのだ。つまり、私の写真は著作権フリーということになる。
いや、この弁護士にかかれば、私のみならず、飲食店のメニューや商品を撮影するカメラマンの写真はすべて著作権フリーで使い放題。高いお金を払ってカメラマンなんか雇わなくても、ネットを開いて写真をコピペしまくればOK!
なワケないだろ!
「著作権法による著作権の登録」について調べてみたところ、たしかに著作権の登録制度は存在する。文化庁で手続きができるようだが、文化庁のHPには以下のように書かれていた。
著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生し,その取得のためになんら手続を必要としません。ここが,登録することによって権利の発生する特許権や実用新案権などの産業財産権と異なる点です。著作権法上の登録制度は,権利取得のためのものではありません。
では,なぜ登録制度があるのでしょうか。
それは,著作権関係の法律事実を公示するとか,あるいは著作権が移転した場合の取引の安全を確保するなどのためです。そして,登録の結果,法律上一定の効果が生じることになります。
冒頭部分に注目してほしい。
「著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生し、その取得のためになんら手続きを必要としません」とある。さらに
「著作権法上の登録制度は、権利取得のためのものではありません」とも。
これがこのまま答弁に対する私の言い分となる。しかし、まぁ、こんなことは著作権の基本中の基本ではないか。「一般に市販されている通常の「◯◯◯(料理名)」を撮影したにとどまる写真」に著作権はないというのは珍説以外の何ものでもない。
さらに答弁書にはこんな言い分も。
この写真は、サイトに被告の従業員が掲載した写真であるが、そもそも「著作権がある写真かどうか」、「◯◯◯(私に撮影を依頼した店)の商品」かどうか」という認識すらなかった。
あー、きたきた。「知らなかった」という言い訳ね。制限速度40キロの道路を80キロでぶっ飛ばして「知らなかった」と言えばキップを切られないのだろうか。
「そもそも認識すらなかった」ではなく、写真にはそれぞれ著作権があり、無断で使用すると著作権侵害になることを「認識させる」、つまり、コンプライアンスを遵守させるのが経営者としての務めではないのか。
そして、私が少額訴訟に踏み切ったいちばんの理由である、弁護士からの連絡を悉く無視した理由についても書かれていた。
被告は、著作権侵害の事実がないこと及び原告の金銭請求が過大なことから、原告の請求には応じられず、回答をしなかったにすぎない。
はぁ?それならそうと回答すればよいだけの話でしょうが。こんな言い分が通ると思っているのかね。
いや、マジか。本当にこの答弁書を基に裁判に挑むのか。話を聞いた裁判官も「は?」と首を傾げることだろう。