永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

店主自らメシを不味くする店。

※本文と写真はいっさい関係ありません

今日は刈谷市で新規案件の打ち合わせだった。

その前に昼食を済ませておこうと思い、以前からブックマークしていた食堂へ向かった。

12時前に着いたおかげで待ち時間なしで入店でき、カウンター席へ案内された。海老フライとひれかつの定食を注文し、スマホを見ながら料理を待っていたそのときである。

「チョロチョロするな!さっきも言ったばかりだろ!そこへ座っとれ!」

突然、怒鳴り声が店内に響いた。あまりに唐突で、思わず身体がビクッと反応した。てっきり客が自分の子どもを叱っているのかと思ったが、声はカウンターの向こう、厨房からだった。店主が自分の子どもを怒鳴っていたのである。

子どもは3、4歳くらい。そんな年頃の子がじっとしていられるわけがない。事情はあるのだろうが、店の中を動き回るのが困るなら、最初から連れてこなければいい。

さらに驚いたのはその後だ。昼時になり、客が次々と入ってきた。店のドアは手動式で、閉め忘れる客もいる。そのたびに店主が怒鳴る。

「ウチの店、ドアは手動なんだわ!開けたら閉めんかい!」

客商売とは思えない強い口調だった。客は自分に向けられた言葉だと思わなかったのか、店主の怒号をスルーしてそのまま席へ向かう。すると店主はさらに声を荒げる。

「閉めろって言ってんだろ!言葉が通じないのか!」

私はまだ料理を待っている最中だった。口を動かす暇があるなら手を動かせばいいのに、と正直思った。というより、私はいったい何を見せられているのだろう。

やがて料理が運ばれてきた。海老フライもひれかつも火が通り過ぎていて、出来は今ひとつだった。いや、たとえ絶品だったとしても、この空気の中では旨いはずがない。

お客様は神様ではない。それは重々承知している。だが、店主自身が店の空気を悪くし、料理まで不味くしてしまう光景を見るのは、長いフードライター人生でも初めての経験だった。

外食は味だけでなく、その場の空気ごと味わうものなのだと、改めて思い知らされた。