
名古屋はラーメンの空白地なのか。
日経新聞のサイトに掲載された記事が、Xで物議を呼んだ。名古屋人が猛反発したのは、「市場の空白地」という一文だ。
『スガキヤ』『味仙』『ラーメン福』といったローカルチェーンの存在を挙げ、「空白地どころか激戦区だ」という声が上がるのも無理はない。私もその一人だ。
ただ、記事を書いた記者の意図も理解できる。
なぜなら……という企画をあるwebメディアへ送ったが結果はボツ。ならばブログに書いておこうと思う。
まず、東京や大阪と名古屋では、市場規模がまったく違う。
例えば、尖に尖ったラーメンを出したとする。東京や大阪なら、8割に受け入れられなくても、残り2割の支持で成立する。
だが、名古屋ではそうはいかない。最初こそ話題で人が集まるが、「合わない」と感じれば二度目はない。
『ラーメン二郎』のように熱狂的な支持を集める店は別として、個性の強いチェーンが進出しにくかったのは、この構造があるからだろう。
では、なぜ名古屋のラーメンは分析しにくいのか。
ローカルチェーンを見ればわかる。『スガキヤ』と『味仙』、『ラーメン福』。いずれも方向性がまったく異なる。
つまり、名古屋には「これ」と言える味の軸がないのだ。
実際、私が取材・撮影を担当している『TRYラーメン大賞 全国版』でも、名古屋の店は意外なほど少ない。むしろ、豊橋や豊川の方が目立つ。
名古屋がラーメンの空白地かどうかよりも、博多のとんこつラーメンや札幌の味噌ラーメンのようなご当地ラーメンが存在しないことの方が問題だと思っている。
スガキヤラーメンや台湾ラーメンは、店の看板メニューであって、ご当地ラーメンではない。どう考えてもムリがある。
豆味噌やたまり醤油といった、全国に誇る調味料があるにもかかわらず、それを活かしたラーメンはまだ育っていない。
いつの日か、それらを使った一杯で『TRYラーメン大賞』の審査員を唸らせるようなラーメンが生まれたら面白い。
東京や大阪のチェーンが名古屋に進出するのも歓迎だ。
やれるものなら、やってみろ。
※写真は、『TRY ラーメン大賞全国版』選ばれた愛知県豊橋市『ラーメンたのしみ』の「醤油ラーメン」。うどん文化が根強い地域であることを意識して、麺は多加水の太麺で、出汁は魚介ベース。