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永谷正樹のなごやめし生活

「なごやめし」について書き綴ります。

ひつまぶしの弱点をクリアした『うな豊』の「まぶし丼」

以前、このブログで私はひつまぶしをあまり食べないということを書いた。湯せんした熱々の器にこらめた熱々の鰻、焼きたての鰻をのせた丼がいちばん美味しいと思っているためである。お櫃に入ったひつまぶしはどうしても食べているうちに冷めてしまうのだ。

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名古屋市瑞穂区豊岡通にある『うな豊』は私のお気に入りの店の一つ。ここは、ひつまぶしがメニューにない代わりに「まぶし丼」(写真)を用意している。丼にすることでひつまぶしの弱点をクリアしたのである。もちろん、薬味やだし汁も付いている。

鰻については後ほど触れるが、ここはいつ訪れてもご飯が炊きたての上に炊き加減も完璧。聞いてみると、小さめの炊飯器でこまめに炊いているという。その心遣いに頭が下がる。

いくら鰻が美味しくても、ご飯が冷めていたり、柔らかかったりすると台無しになってしまう。鰻に限らず、丼ものは具とご飯の一体感がすべてなのだ。

特筆すべきは、鰻料理の命ともいうべき「焼き」。名古屋ではタレを何度もつけながら表面が飴色になるまでカリッと焼き上げた鰻が人気のようだが、ここは違う。皮目と身を何度も返し、団扇で温度を調節しながら焼き上げている。

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その技術が最も表れているのが「うな重」だ。名古屋では鰻を蒸さずに焼く「地焼き」が一般的。どうしても皮目がかたくなってしまうので、身を何等分かに切ってあることが多い。しかし、ここのうな重はご覧の通り。箸でサクッと切れるのである。

「関東の鰻の美しさと柔らかさを地焼きで表現できないかと思ったんです」と、店主の服部公司さん。

ひつまぶしと同様にうな重も冷めやすいので、私はあまり注文しないが、ここのうな重は別格である。食べるたびに職人としてのレベルの高さを目の当たりにして、感激してしまう。店の近くには市内でも有数の桜の名所がある。次回は桜の咲く頃に訪れてみよう。

「鉄板焼き太きしめん」は家族で食べた焼肉がヒント!?

麺類食堂で「天ぷらきしめんを赤つゆで」、「白つゆでかけきしめんを」など、さまざまなリクエストをする客がいるという話を耳にする。つゆを替えるくらいなら、まだカワイイものである。なかにはメニューにないものを求めるツワモノもいるらしい(笑)。今でこそあまり見かけなくなったが、ひと昔前には麺類食堂にはオムライスやカレーライスがあった。ある麺類食堂の店主から、それらの洋食は客の要望でメニューに採り入れたと聞いた。

このようなことは何も麺類食堂に限らず、喫茶店や寿司屋でもあったと思う。私がグルメ取材を始めたばかりの頃、「名古屋では専門店は成立しない」という話を幾度となく聞いた。つまり、店主が専門としている料理以外のものも用意した居酒屋的な店しか流行らないということだ。

そもそもオムライスやカレーライスが食べたければ洋食店に行けばいいのであるが、それだけ客と店の距離が近いのだろう。あまりワガママなリクエストはいかがなものかと思う反面、私はそこに名古屋らしさを感じてしまう。それに「なごやめし」として知られる小倉トースト味噌かつも客のリクエストから生まれたのだ。

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↑写真は『朝日屋』の「焼き太きしめん」。テレビ朝日『マツコ&有吉 怒り新党』で私が紹介されていただいた一品だ。放送直後には店の前に行列ができ、昼の休憩もとることができないほど多くの客で賑わった。1年経った今でも「テレビを見た」という客が訪れるという。

「焼き太きしめん」がメニューにくわえられたのも10年ほど前に客からリクエストされたのがきっかけだった。普通に醤油やソースで作っても面白くないと思ったご主人と女将さんは、味噌やカレーなど思いつく調味料をすべて使って試作を繰り返した。しかし、納得のいく味にはならなかった。

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「ある日、家族で焼肉を食べたんですよ。肉を食べ終わったホットプレートにきしめんを入れたらすごく美味しかったんです。すぐさま、これだ!って(笑)」と、店主の堀場剛さん。

焼肉のタレは、店の焼肉定食に使っている自家製で、先代が考案。醤油にすり下ろしたニンニクや唐辛子などをくわえたパンチのある味だ。強火で炒めるため、通常のきしめんでは切れてしまったことから、釜揚げきしめんに使う「太きしめん」に替えた。幅が広い分、タレの味をよく吸い、全体のバランスが良くなった。

また、名古屋の喫茶店ではお馴染みの「イタリアンスパゲティー」のように、熱々の鉄板で食すのもポイントだ。溶き卵も流し入れてあり、絡めて食べるとマイルドな味わいになる。ご飯にも合うが、キンキンに冷えたビールとの相性も抜群だ。

「焼き太きしめん」は、客のリクエストと店主の飽くなき探究心から生まれたのだ。

つゆと麺、具材のどれも完璧な一杯

ある冊子の取材で東区の『川井屋』へ行ってきた。創業は大正10年。店主の桜井太郎さんは、3代目。平成元年、23歳のときに店に立ち、今年で29年。先代から店を継いでから、新たに増やしたメニューはなく、逆にお品書きから外したメニューがあるという。

「昔は外食する場所といえば、うどん屋くらいしかなかったと思うんですよ。だから、ウチに限らず、昔ながらのうどん屋にはカレー丼やチャーハン、ラーメンとかもありました。それらを外したんですけどね」と、桜井さん。

客のなかにはカレー丼が好きな人もいただろう。しかし、麺類食堂として不要なものをそぎ落としていけば、本来メインである麺類や丼ものに集中できる。そこに職人としてのこだわりを垣間見たような気がした。

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さて、ここの「きしめん」だが、朱色の「名古屋かまぼこ」と煮揚げ、ほうれん草、花がつおがのる。薬味はネギと大根おろしが別皿で出される。

大根おろしは意見が分かれるところだが、麺にのる具材はどれも定番中の定番であり、これが名古屋のスタンダードと言ってもいいだろう。初めて見たときは、赤茶色のつゆにかまぼこの朱色とほうれん草の緑が映えて、とても美しいと感動した。

ムロアジに宗太鰹をくわえたダシは、野趣溢れる味のなかにそこはかとなく上品さも感じる。そんな完成度の高いダシに合わせるのはもちろん、うまみ成分の強いたまり醤油。麺ももっちりとした弾力があり、まさに私好み。もう、何から何まで完璧なのだ。桜井さん、ご馳走様でした!

姫路駅「えきそば」VS長命うどん「和風中華」。勝負の行方は…

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先日、出張で兵庫県三田市へ行った。ホテル近くのコンビニで「姫路駅名物  まねきのえきそば」というカップ麺が目に飛び込んできた。ずいぶん以前になるが、姫路駅のホームにある立ち食いの店で「えきそば」を食べたことがあり、それがとても美味しかったのだ。だから、つい、懐かしくなって買ってしまった。

商品名にもあるように、姫路駅で「えきそば」を出しているのは、姫路市内で駅弁の製造・販売も手がけているまねき食品(株)。HPには「えきそば」の発祥について以下のように紹介されている。

終戦後、何もない混乱期に統制品であった小麦粉の替わりにこんにゃく粉とそば粉をまぜたそばを販売、その後試行錯誤の結果現在のかんすい入りの、中華麺に和風だしというミスマッチの商品が誕生しました。

昭和24年10月19日に「えきそば」と名付けられ、立ち売りの販売方法をへてホーム上の売店へと発展してきました。

現在は、メニューも増え忙しいビジネスマン・学生・昔からの「えきそば」ファンに親しまれております。

「えきそば」最大の特徴は、和風だし+中華麺という一見ミスマッチかと思う組み合わせ。果たして、どこまでカップ麺で再現できているのか。

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と、いうことで、早速作ってみた。衣だらけの天ぷらがリアル(笑)。天ぷらの横にかかっているのは、添付されていた一味唐辛子。

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そして、いざ、実食!ほかのカップ麺に比べて麺は太めでしっかりとしたコシがある。つゆは大きな天ぷらから染み出す油のせいか、香りが弱く、だし感も少ない。ゴクゴクと飲んでみて初めて和風だしとわかる程度。でも、カップ麺としてはかなり旨い方だと思う。

40歳を過ぎたあたりから、カップ麺や袋入りのラーメンを食べると胃がもたれてしまい、食べることが少なくなった。唯一、食べられるのが「どん兵衛」や「赤いきつね」、「緑のたぬき」などのカップうどんやそば。「えきそば」はそれらに近いのだ。

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しかし、「えきそば」にどこかもの足りなさを感じてしまうのは、↑このメニューが私にとって強い存在感を与えているからだろう。うどんのつゆの中に中華麺が入った『長命うどん』の「和風中華」である。

やはり、ムロアジとたまり醤油のガツン!とパンチのあるつゆが私には合っているのだ。薬味は「えきそば」のように一味唐辛子のみではなく、すりゴマやコショウも用意している。とくにコショウをドバドバかけて食べると本当に旨いのだ!

『まねき食品(株)』の創業は明治21年で「えきそば」の発祥は昭和24年。一方、『長命うどん』の創業は大正2年。「和風中華」がメニューにくわえられた時期は定かではないが、これも相当長い歴史があるような気がする。

どちらが先かはわからないものの、「和風中華」はその日の気分によって、うどんやそばをミックスさせることができる。その懐の深さというか、多様性で私は「和風中華」に軍配を上げたい(笑)。『長命うどん』の「和風中華」や「う中(うどん+中華麺)」のカップ麺が発売されることも切に望む。

客のリクエストから生まれた「えびおろし」

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たっぷりの大根おろしと大ぶりな海老天をのせた「えびおろし」。きしめんのほか、うどんやそばもある。温かいものも用意している店も多いが、冷たいつゆと麺で味わうのが基本だ。写真の「えびおろしきしめん(冷)」は、中区錦3丁目にある『総本家 えびすや本店』のもの。

専務の中山義規さんによると、「えびおろし」が誕生したのは昭和40年代前半。本店で働いていた方が独立して、名古屋市瑞穂区の瑞穂通に店を開いた際に、客からのリクエストで海老天と大根おろしをのせた。実際に食べてみると、とても美味しく、メニューにくわえられたという。

何とも名古屋らしいエピソードである(笑)。もちろん、例外はあるものの、客のリクエストに応えてしまうのが名古屋の飲食店店主のサガなのである。もしも、東京の蕎麦屋で同じことをしたら…。「おととい来やがれ!」と、塩をまかれるかもしれない(笑)。

しかし、勇気ある(?)客とリクエストを断らなかった店主によって「えびおろし」は店の名物となり、名古屋エリアの麺類食堂へと広がっていったのだ。今は瑞穂通に店はないが、海部郡大治町にある『えびすや大治店』がその流れを汲むので、今でも元祖の味が楽しめる。

天ぷらを食べる際、天つゆに大根おろしを入れて食べると旨い。また、きしめんやうどん、そばに大根おろしを入れても旨い。海老天と大根おろし、麺。これらを組み合わせた「えびおろし」は旨いに決まっている。『えびすや』は本店に限らず、どの店も海老天が大きく、注文ごとに揚げているのが特徴だ。昔から20センチほどの海老(ブラックタイガー)を使っていたそうで、名古屋人が好きな大きな海老天も「えびおろし」が広がっていった要因の一つではないかと思う。

オリエンタル「台湾カレーミンチ」を喰らう

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台湾ラーメンに使う、ニンニクと唐辛子で味付けした“台湾ミンチ”をカレーにのせた「台湾カレー」。『元祖台湾カレー』で初めて食べたとき、私は「台湾まぜそば」以上に衝撃を受けた。これまでラーメンにしか使われることのなかった台湾ミンチをカレーに用いたことに驚いたのだ。その手があったのか!と。しかも、台湾ミンチを入れただけでこれまで食べたことのない味に豹変することにも驚いた。

同時に台湾ミンチの可能性も感じた。ラーメンやカレーのみならず、いろんな料理に合わせた「台湾〇〇」というメニューが登場するに違いないと思った。ちょうどその頃、このブログでも紹介した岐阜県多治見市の『鉄板焼そば わが家』台湾ミンチをいただいた。それを自宅でインスタントラーメンや白ご飯、カレーライスにのせて楽しんだ。その後も自分で台湾ミンチを作ってしまうほど台湾ミンチにハマった。そのとき、

「レトルトか何かで台湾ミンチがあれば売れるかも?」という考えが頭を過ぎった。私は台湾ミンチを商品化すべく、ツテを頼っていろんな人に相談した。結論としては商品化できるとのことだった。しかし、台湾ミンチの製造とレトルトの袋詰めと箱詰め、販売と作業がすべて分業となるため、1個あたりの値段がとても高くなってしまうことが分かった。

断念せざるを得なかったのだが、その直後に『オリエンタルカレー』を思い出した。『オリエンタルカレー』は20年ほど前から何度か取材しているし、星野益八郎社長も何度かお目にかかっている。早速、私は星野社長に連絡を取って、会社を訪ねた。台湾ミンチのことを話すと、

「永谷さん、遅かったよ。僕も同じことを考えていて、ついこの前、部下に指示を出しちゃった」と、星野社長。さらに、その場で試作品を食べさせていただいた。

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それが2月に新発売となった「台湾カレーミンチ」である。なぜ、台湾ミンチではなく、台湾カレーミンチなのか。

「いずれ台湾ミンチはほかのメーカーが出すでしょう。例えば、それが台湾ラーメンの有名店の名を冠したものだったら、勝負にならない。だから、ウチは専門であるカレーをベースとした台湾カレーミンチにしようと思ったんです」とのこと。

試食したときに感じたのが、インドと中国、2つの国で用いられるスパイスが見事に融合しているということ。こんなカレーは今までなかった。この商品について、『オリエンタルカレー』は、ただ単にご飯にかけるだけのものではなく、調味料として使用することを薦めている。

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と、いうことで、作ってみた。やはり、まずはシンプルにご飯の上からかけることに。巷のレトルトカレーの辛口よりもかなり辛いので、それを和らげるためにとろけるチーズと卵黄をトッピング。『元祖台湾カレー』に倣って、刻みネギものせた。

全体的によくかき混ぜてひと口…。以前に試食したときよりもカレー寄りの味になっていて食べやすいと思った。とはいえ、かなり辛い。ひと口目はそうでもないが、後からスパイスを多用した複雑な辛さがじんわりと広がり、汗が噴き出してくる。

気になったのは店で食べるよりもミンチは少ないこと。これは価格を抑えるためだろう。後からミンチをくわえてキーマカレー風にしても美味しいと思う。それと、「台湾カレーミンチ」にはニンニクが入っていないので、くわえてやればよりパンチのある味わいになるだろう。

今後もこのブログで「台湾カレーミンチ」を用いたメニューを紹介していくのでお楽しみに!

自宅できしめんを作るのが最近のマイブーム

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わが家は共働きなので、昼は外食するか、仕事場兼自宅で何か作って食べることになる。最近、ハマっているのが、きしめんである。スーパーできしめんの玉を買ってくれば簡単にできるし、原稿書きの気分転換にもなるので、かなりの頻度で作っている。

きしめんを売っていないスーパーもあり、地元の「なごやめし」離れを目の当たりにした。置いてあっても、うどんよりも高い。うどん玉は1袋18円。一方、きしめんは48円と、倍以上も違う。そりゃ、うどんを選ぶだろう。

きしめんを置かないというスーパーの決断も理解できるが、名古屋の食文化を次代に継承するために、どうかきしめんをうどんと同じ値段で買えるようにメーカーもスーパーも努力していただきたい。

スーパーできしめんを買うついでに惣菜コーナーで天ぷらやかまぼこも買えば、一気に豪華な一杯となる。海老天は高いので、私はちくわ天を選ぶことが大半だが。

↓以下がつゆの材料(1名分)である。

水…500cc

たまり醤油…大さじ2

だしの素…小さじ2

酒…小さじ1

みりん…小さじ1/2

これらをすべて混ぜ合わせてコンロにかけるだけ。ただし、沸騰させてしまうと香りが飛んでしまうので、弱火でじっくりと温めること。簡単でしょ?

このブログでもさんざん紹介したが、名古屋の麺類食堂で使っているダシは、ムロアジがベースである。だから、香りは立たないし、ガツン!とくるダシのパンチ力も弱い。それは仕方がないことである。それをFacebookで書いたら、ある麺類食堂の店主が「削り粉」を大さじ1くわえるとよいというアドバイスをいただいた。

早速、買ってきて試してみたところ、味がガラッと変わった。麺類食堂には遠く及ばないものの、業務用のつゆよりもはるかに旨くなった。今度は白醤油で作ってみようと思う。興味のある方は是非試してみてください♪