永谷正樹のなごやめし生活

「なごやめし」について書き綴ります。

うるせぇ!バカヤロー!

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お前、もうすぐ50歳なんだって?

うるせぇ!バカヤロー!

50歳にもなってナニやってんだよ?

うるせぇ!バカヤロー!

お前は女房に苦労かけっぱなしだな。

うるせぇ!バカヤロー!

お前の子供の将来が心配だわ。

うるせぇ!バカヤロー!

お前の親もあの世で泣いてるぞ。

うるせぇ!バカヤロー!

お前がプロカメラマンなんてちゃんちゃら可笑しいわ。

うるせぇ!バカヤロー!

お前、写真ヘタクソなんだよ!

うるせぇ!バカヤロー!

お前の写真からはなんも伝わってこないわ。

うるせぇ!バカヤロー!

写真だけでは食っていけないから文章も書いてんだろ。

うるせぇ!バカヤロー!

お前、ライターのくせにボキャブラリーが貧困なんだよ。

うるせぇ!バカヤロー!

お前の文章は表現力に欠けるね。

うるせぇ!バカヤロー!

くだらねぇブログ書いてんじゃねぇよ。

うるせぇ!バカヤロー!

ブログ、いつまで続くんだか。

うるせぇ!バカヤロー!

そもそもお前はライターに向いてないんだよ。

うるせぇ!バカヤロー!

いつまでも仕事が続くと思ってんじゃねぇよ。

うるせぇ!バカヤロー!

お前の努力なんて、たかがしれてんだよ!

うるせぇ!バカヤロー!

お前、もうちょっと賢く生きろよ。

うるせぇ!バカヤロー!

お前は未練たらしいんだよ!

うるせぇ!バカヤロー!

お前は女々しいんだよ。

うるせぇ!バカヤロー!

お前は男として器が小さいんだよ。

うるせぇ!バカヤロー!

お前は口ばっかりじゃん。

うるせぇ!バカヤロー!

お前はいっつも自分のことばかり考えてんじゃん。

うるせぇ!バカヤロー!

お前なんかがモテるわけないだろ。

うるせぇ!バカヤロー!

 

 

うるせぇ!バカヤロー!

うるせぇ!バカヤロー!

うるせぇ!バカヤロー!

 

 

40代最後の日は、

写真家として、文筆家としてまだまだのオノレに、

人としても、男としても弱く、女々しいオノレに

うるせぇ!バカヤロー!

って、全否定するところからはじめよう。 

私の財産。

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思春期の頃は、自分でもワケがわからないくらい、小さなことでイライラしていた。何か、こう、世の中のすべてが敵に見えて、感情をコントロールすることができなかった。

そして、今、50歳を前に、また自分でもワケがわからないくらい、この先の人生に不安を感じることが多かった。いや、現在進行形だから、「不安を感じている」だな。

これまで後悔しない生き方をしてきたつもりだったが、ああすればよかった、こうすればよかったと悔やむことが多い。取り越し苦労だとわかっているのに。

そんななか、某雑誌で20軒もの飲食店を取材・撮影せねばならなくなった。〆切は5月の半ばだが、私が立てた目標はGW前。新規で取材するにはあまりにも時間がない。

と、いうことで、これまで何度か取材したことのある店であれば、撮影だけで済む。撮影は店内と料理を1カットずつ。所要時間は約30分。だいたい、1日3~4軒。効率よくまわれば5軒だって可能だ。

Facebookで繋がっている方にメッセンジャーで取材を申し込むと、皆、快諾してくださった。しかも、「明日、お邪魔してもイイですか?」というムチャなお願いも笑って許してくれた。

全国誌とはいえ、掲載スペースはかなり小さい。にもかかわらず、大変喜んでいただいた。撮影したメニューをお土産にくださったり、別の料理まで作っていただいて、お土産に持たせてくださった方もいた。

もちろん、取材を受けることは集客に繋がるわけで、メリットが大きいというのもあるだろうが、まるで古い友人と再会したかのように温かく迎えてくださったのである。いちばん嬉しかったのは、

「ブログ、見てますよ」とか「Facebook、見てますよ」という声。フードライターなんて名乗るのもおこがましい一介の雑文書きに興味を持ってくださったことが何よりも嬉しかった。

あと、撮影する店はあと2軒ほど残っているが、今日で20軒分の撮影を終えた。毎日、お店を訪ね歩く中で、取材先の皆様の温かい気持ちに触れて、今まで私がやってきたことに少しだけ自信が持てた。

フリーとなって約四半世紀。思えば、多くの人々と出会った。それは、紛れもなく私の財産である。これまで多くの皆様のおかげで今の自分があると思うと、心の中の迷いが少しだけ小さくなったような気がした。

私を取り巻く、すべての皆様、ありがとうございます。

※写真は、本日取材でお世話になった千種区仲田『蓬左茶寮』の店主、松本善隆さん。

麺屋寄席。

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先日、「麺屋寄席」なるイベントに行ってきた。その名の通り、うどんやそばなどを出す麺類食堂での寄席だ。名古屋市内で2年前から開催されていて、私はリクルートのグルメ情報サイト『メシ通』で取材したこともある。

www.hotpepper.jp

この日、訪れたのは、刈谷市一ツ木町にある『きさん』。店主の都築晃さんとは取材に訪れたのが縁で、飲みに行ったりする仲なのである。

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これは、伏見『大甚本店』へ行ったときの写真。ただの酔っ払いのおっさんに見えるが、うどんやそばに対しては変態的なこだわりを持つ。って、全然フォローになってないな(笑)。とにかく、彼の打つうどんやそばは旨いのである。

「麺屋寄席」は、『きさん』の開店20周年記念イベントとしての側面もあった。10年でもスゴイのに、20年というのは本当にすばらしい。味は言うまでもないが、地元の人々に愛される何かが都築さんの店にはあるのだろう。やはり、ただの酔っ払いのおっさんではないのだ(笑)。

では、あらためまして、都築さん、20周年おめでとうございます!

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これが麺屋寄席のプログラム。約1時間、落語を楽しんだ後、このイベントのために用意しオリジナルメニューをいただくというもの。アルコールも用意されていたが、この日は車だったのでガマン。

落語を披露してくださるのは、名古屋を拠点とする雷門福三さん。彼は大須で『駄菓子バー チャーリーズ』をやっていて、私は10年以上前に『週刊プレイボーイ』の取材でお世話になった。だから、私は雷門福三さん、ではなく、チャーリーさんと呼んでいる。

最近も朝日新聞『DANRO』の取材にもご協力いただいた。

www.danro.bar

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 出囃子とともに寄席がはじまった。福三さんは小咄を交えて自己紹介。その時点で会場は大爆笑。私も声を出して笑ってしまった。

福三さんのネタは、誰かを貶めてとるような笑いではない。瞬発力のある笑いでもなく、ジワジワとくる笑い。ウィットに富んでいて、誰もが心の底から笑ってしまう。

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小咄で会場が暖まると、いよいよ落語のはじまり。驚いたのは、落語の中の登場人物や情景がアリアリと頭の中で浮かんだこと。話術だけではなく、高座で縦横無尽に動く上半身でそれを見事に表しているのである。

これぞ、まさに芸なのだと感動すら覚えた。これはテレビやネット、DVDでは絶対に味わえない。ライブならではの醍醐味なのである。

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落語の後は、都築さんがこの日のために用意した料理を堪能した。↑写真は、宮崎県産の鶏肉を使った「自家製サラダチキン」(左)と、きしめんチップをあしらった「季節の彩りサラダ」(右)。

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メインは「奥三河の地鶏入りいもかわうどん」。愛知県の麺類食堂らしく、つゆはムロアジのだしにたまり醤油を合わせたパンチのある味わい。さらに、そこへ鶏の旨みが染み出していて、コクがハンパない。

平打ち&幅広のいもかわうどんにもしっかりとつゆの旨みが染み込んでいる。噛むごとにジュワッと旨みが広がる。こりゃたまらん!

都築さん、福三さん、楽しい夜になりました。ありがとうございました♪ 

私の子育て論。

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子供のことを考えない親はいない。

虐待やネグレクトで子供を死なせてしまう馬鹿な親も一部にはいるが。

自分の命よりも大切な存在だからこそ、親は子供のことを心配する。

とくに、学校の成績が悪いと、社会的落伍者の烙印を押されたような気分になる。

でも、まったく心配することはない。

成績の良し悪しと頭の良し悪しは別物なのである。

私に言わせれば、成績が良いというのは、机の前での集中力が高いということにすぎない。

私は机の前では集中力が発揮できなかったから、別の道を選んだ。ただ、それだけだ。

では、頭の良し悪しとは何か。

それは生きる力があるか否かである。

人の気持ちを理解して、人を喜ばすことができるのか否か。

学校や塾では教えてくれないから、親が教えるしかない。

ところが厄介なことに理屈では伝わらない。

頭で考えて教えようとすると、どうしても生きる力=世渡り上手になってしまう。

でも、そんなに難しいことでもない。

子供のことを考えただけで幸福感に包まれる、愛おしくてたまらない気持ちを表現するのだ。

それは、言葉だったり、表情だったり、行動だったり。

ちなみに私は、「お前がどんな状態であっても、たとえ犯罪者であっても、オレはお前を愛してる。それだけは絶対に忘れるんじゃないぞ!」と、泣きながら次男に伝えたことがある。

次男も泣いていた。それから私と次男の関係が少しだけ変わったと思っている。

nagoya-meshi.hateblo.jp

↑そのことをブログにも書いた。

親から愛されていることを実感している子供が生きる道を間違えるはずがない。

自らも人を愛し、そして、周りから愛される人になる。

偏差値の高い高校や大学へ進学するよりも、一流企業へ就職するよりも大切なことだ。

嫌として、子供の人生にそれ以上、望むものがあるだろうか。

苦悩から解放される二つの道。

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「こうありたい」と願う自分と、「できない」自分。

その隔たりが大きいと、人は悩み、道に迷う。

そのまま進むか、諦めてしまうか。

理想と現実との隔たりの間で抱えていた悩みや苦しみ。

それら背負い込んだものを下ろして、解放されたい。

その気持ちもわかる。

たしかに、諦めるのも一つの道だろう。

でも、苦悩から解放される道はもう一つある。

そのまま進むのだ。

端から見れば、足踏みしているだけに見えるかもしれない。

ゆっくりでもいい。

あいつは頑固者だ、偏屈だと嘲笑の的になるかもしれない。

笑う奴には笑わせておけばいい。

「こうありたい」と願う自分に1ミリでも近づくのだ。

私が選ぶのは、間違いなく後者。

悩みや苦しみから解放されたいのではない。

「内なる自分」が喜び、心の中で小さなガッツポーズをとるためだ。

そこに生きる喜びが、ある。

チャーラーの旅。9

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30歳を境に味覚が変わった。それまで嫌いで食べられなかったものが好きになった。料理だけではない。20代の頃は見向きもしなかった焼酎をメインに呑むようになった。

40歳を過ぎた頃には、逆に食べられないものが増えた。いや、食べたいと思わなくなったという方が正しいな。とくに脂っこいものがダメになった。顕著なのが、こってり系のラーメンである。

それこそ、若い頃は夜中まで遊んだ帰りに『横綱ラーメン』で大盛を食っても全然平気だった。今、同じことをしたら……吐く(笑)。以前、二郎系に挑んでみたものの、麺までたどり着けなかった(笑)。

と、いうわけで、最近ではもっぱら昔ながらの中華そばを好んで食べている。塩ラーメン、という選択肢もあるが、あまりにもあっさりとしすぎていて、食べた感を感じないのである。だから、中華そば。

前置きが長くなったが、今回紹介するのは名古屋市中村区にある『太陽食堂』。有名店なので、ご存じの方も多いと思う。

tabelog.com

1、2年ほど前から近くを通りかかったときなどに立ち寄っていたのだが、少し前に『東洋経済オンライン』で、『フジヤマ55』の澤竜一郎さんを取材したときに、『太陽食堂』のご主人が『フジヤマ55』の系列店出身ということを知ったのである。

toyokeizai.net

そんなわけで、一方的に親近感を覚えた(笑)。しかも、『太陽食堂』のご主人は、私のTwitterをフォローしてくださった。ブログの更新しかTwitterで呟かないにもかかわらず。さらに、先日はTwitterにコメントまでいただいた。4月13日(土)のブログに書いた「チャーラーの旅。8」で紹介した一宮の『一冨士らーめん』に反応してくださったのだ。

私も『太陽食堂』のチャーラーはいつかブログに載せようと思っていた。そこで、Twitterでコメントをいただいたついでに、前に撮った写真が現行のものかどうか確認してもらった。そこで丼が変わっているというご指摘をいただき、あらためて食べに行くと約束をしていた。

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そして、今日。名古屋駅から中川区へと移動する途中に立ち寄った。店へ着いたのは11時40分くらい。雨も降っていたので、並ばずに入ることができた。これまで開店直後から並ぶこともあったのでラッキーだった。

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これがメニュー。ラーメンではなく、「中華そば」という表記がイイ。しかも、中華そばと焼きめし、焼き餃子の3種類のみ。以前は味噌ラーメンもあったそうだが、逆にこの潔さがよい。

たしかにメニューが多い方が客にとっては選択肢が増える。しかし、メニューのすべて、例えば、醤油と味噌、塩、つけめん、まぜそばのすべてに力を注ぐことができるだろうかと思ってしまう。私は不器用だから絶対に無理だ。メニューが1種類であれば、他のメニューに注ぐパワーをその1種類に集中できる。

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私が注文したのは、中華そばと焼きめしをそれぞれ並盛で。まず運ばれたのは、中華そばだった。具材は、焼豚とナルト、メンマ、海苔、ネギと中華そばの王道。

溜息が出るほど美しい。このビジュアルで思い出したのが、『銀河鉄道999』で星野鉄郎が「合成ラーメンだけどうまいや!」と、言いながら食べていたラーメン。アレがめちゃくちゃソソられた(笑)。

こっちは、“合成”ではなく、正真正銘、本物の中華そばである。スープをひと口飲むと、しっかりときいたダシの旨みと醤油の香りが口の中いっぱいに広がる。麺にもスープが絡みまくり、ススるたびに幸せな気分に。

中華そばを堪能していると、厨房から中華鍋を振る音が聞こえてきた。そこに目をやると、中華鍋の米粒が宙を舞っていた。こんなの、旨いに決まってるぢゃないかっ!

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で、これが「焼きめし」。並盛だが、かなりのボリューム。実のところ、小盛にすればよかったと少しだけ後悔(笑)。特筆すべきは、ご飯のパラパラ加減。さすが宙を舞っていただけある(笑)。

ラーメンと交互に食べても美味しく、それぞれの味を引き立て合っていた。味付けはやや濃いめに感じたが、ここに来る前に撮影でめちゃくちゃ汗をかいたから、ちょうどよいのである。ここ、『太陽食堂』は、インスタ女子ではなく、額に汗かいて働く男たちの方が似合う。

帰り際に、「Twitterでコメントをいただいた永谷です」と告げて名刺を渡した。「そうじゃないかと思ってました。早速来てくださってありがとうございます」と、ご主人。

ご主人、ご馳走様でした。ありがとうございました。機会があれば、是非、取材・撮影させてください♪

家族の思い出が詰まった店。

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私の父と母は、鰻が大好物だった。幼い頃から家族での外食は決まって鰻屋。そのせいか、私も鰻が大好きになった。私の知らないところで父と母はいろんな店を食べ歩いていたのだろう。

「美味しい鰻の店を見つけたから」と、私が大人になってからも鰻屋へ連れて行ってくれた。

父は西区城西で、母は大津橋で生まれ育ったこともあり、西区界隈の鰻屋へ行くことが多かった。しかし、私たち夫婦と同居生活がはじまってからは、自宅からほど近い岩倉市にある『うなぎ亭 不二』がお気に入りだった。

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私もこれまで父と母と一緒に訪れた鰻屋の中でいちばん旨いと思った。女房は鰻が苦手だったが、ここの鰻を食べてから大好物になった。

名東区で暮らす姉が実家へ帰って来たときなどによく食べに行った。まだ私の子供も姉の子供も小さくて、じっとしていられないので、いつも個室を用意してくれた。

子供と孫に囲まれて、大好物の鰻を食べる父と母は、きっと幸せだったに違いない。『うなぎ亭 不二』は、そんな私たち家族の思い出が詰まった店なのだ。

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昨年1月、店主の伊藤淳二さんとFacebookで繋がった。いつか行こうと思っていたが、今日、その機会に恵まれた。今月は私が誕生日を迎えるので、夫婦で行こうと思ったのである。

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伊藤さんはFacebookで、店の魅力を発信していた。それを見るたびに「素敵な店だなぁ」と思っていた。箸袋にあしらった折り紙で作った兜もその一つ。訪れた客は心がほっこりすると思う。この店にはそんな客への気遣いが満ち溢れているのである。

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私は上うな丼の「中詰め」を、女房は「ひつまぶし」を注文した。あらかじめ、Facebookで伊藤さんに今月は私の誕生日であり、店へうかがうことを伝えておいたので、誕生日のお祝いに「ニンジンのサラダ」をいただいた。ニンジンそのものの甘みとやさしい、ほのかな酸味が食欲をかき立てる。鰻が待ち遠しくなった。

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これが私の注文した「中詰め」。丼一面が鰻で覆われているだけでなく、その名の通り、ご飯の中にも鰻が入っている。鰻を見てもわかるように、表面は焦げていない。この絶妙な焼き加減が私は好みなのである。

まずは、いちばん上の蒲焼きからいただく。皮はパリッと香ばしく、身はふんわりというか、トロトロ。脂がとても上品で口の中でスッと消えていく。うん、やはり旨い!

たれの味付けは、甘すぎず辛すぎず、ちょうどよい塩梅。食べていてもまったく飽きがこない。ご飯の炊き加減も完璧。写真がなくて申し訳ないが、漬物は自家製。桜の季節らしく、桜の塩漬けのあしらいも。吸い物にも桜の形をしたカマボコが入っていた。もう、すべてがすばらしい!父と母との思い出も相まって、感動を覚えるほどの美味しさだった。

食後に伊藤さんは私たちの席まで来てくださり、少しおしゃべりをした。店は平成元年に開店したそうで、平成と、そして今度は令和と、2つの時代にわたって店が続くことになる。

私たち夫婦が結婚したのは、平成6年。父と母が亡くなったのは平成24年。頻繁に足を運んでいたわけではないが、実に18年間もお世話になっていたのだ。店の中にいると、いろんな情景が頭を過ぎる。幼かった長男と次男やまだ元気だった父と母。

入院している母のお見舞いへ行ったとき、テレビでうな丼の映像が流れたことがあった。それを見た母は、

「鰻が食べたいなぁ…」と呟いた。当時、母はすでに固形物を飲み込む力もなく、流動食になっていた。それでも鰻が食べたいという気持ちがあったのである。

しかも、母が食べたいと思い浮かべた鰻は、ここ『うなぎ亭 不二』の鰻だったに違いない。そう思うと、胸がいっぱいになった。ふと、女房の方へ目をやると、きっと同じことを考えていたのだろう。涙を流していた。先日、私たち夫婦は銀婚式を迎えた。女房もすっかり永谷家の一員になったのだと実感した。

私は鰻を食べるたびに母のことを思い出す。きっと、鰻に引き寄せられて(笑)、その場に母は来ているかもしれない。私の身体を通じて、母に美味しい鰻を味わってもらいたいと思っている。