永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

試みの名鉄犬山線。4(最終回)

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関西大学総合情報学科の学生たちから寄せられた質問に私、ナガヤが答える『試みの名鉄犬山線』。えっ!?もう飽きたって(笑)?今度こそ最終回なので最後まで付き合ってくれい。

今回は『永谷正樹、という仕事。』とは別に行った『スマホカメラ講座』を受講した学生たちからの質問に答えていく。それでは、いくぞー!

 

・全体的に白っぽくてシャドウ、ストラクチャが効いていてふんわりしているけど、食べ物がちゃんと美味しそうに見える加工の方法があれば教えて頂きたいです。

 

イマイチ、あなたのめざしている写真のイメージが掴めませんが、「白っぽい」というのは、明るいということでしょうか?また、「ふんわりしている」というのは、周辺がぼけているということでしょうか?

明るくするには、画像調整で「明るさ」を、ぼかしたければ、「ぼかしの強さ」をそれぞれプラスにすればいいと思います。

シャドウが効いているということは、あえて影を付けたいということでしょうか?その場合、プラスではなくマイナスにします。ストラクチャを効かせたければプラスにしましょう。しかし、いずれも効きすぎると全体のバランスが悪くなってしまいますので注意してください。

画像の加工は、やりすぎると画像そのものが劣化します。それを防ぐには、まず、キレイな写真を撮影するのが第一です。スマホのカメラはフルオートなので、逆光など条件が悪いとどうしてもキレイな写真を撮ることができません。

そこで絞りやシャッタースピードを調節して明るさをコントロールできるカメラアプリを使ってみてはいかがでしょうか。私のオススメは、Adobeの『Lightroon(ライトルーム)』というアプリです。画像加工アプリですが、高機能なカメラも付いています。

使い方もネットを検索すればいくらでも出てきます。是非、チャレンジしてみてください。

 

・履歴に、いいキャッチコピーの講演と載っていたので就活で役立ちそうなコツや書籍、人生経験を踏まえて教えていただきたいです。

 

キャッチコピーと就活のコツは関係ないでしょう(笑)。しかも、オレに就活のコツを聞くかぁ(笑)?就活に限らず、「自分の言葉」で語ることが大切だと思います。

もう10年ほど前になりますが、愛知県の某大学で就活に励む学生たちのブログをリライト(文章を整えること)する仕事を請けたことがありました。その打ち合わせで実際に記事を書く学生たちにも会いました。

皆、同じ髪型、同じ服装だったのが気になったけど、とても礼儀正しい、という印象でした。でも、文章を書かせたら、完全に「やっつけ仕事」だったのです。記事でいちばん大切な自分の気持ちや思い、つまり「自分の言葉」が何一つ書いていなかったのです。

就活中で忙しいだろうし、ブログの記事は課題でもないし、成績にも関係ない。だから、手を抜いたのでしょう。正直、がっかりしました。

「自分の言葉」で語るには、経験が必要です。就活時の面接で堂々と「自分の言葉」で語ることのできる経験を沢山積んでください。書籍はその後で読んでも決して遅くありません。

 

・ライトはどこで買いましたか?

↓これです。

www.amazon.co.jp

リングの直径が小さいものは、あまり効果がありません。10インチ以上のものを選ぶのがよいと思います。

 

ふぅ……。『スマホカメラ講座』の質問はこれにて終わり!

では、最後に私から学生諸君にメッセージを贈ろうと思う。

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 題して、

 「貴方は、何者だ?」

 

『永谷正樹、という仕事。』を受講された皆様から寄せられた感想を1つ1つ読ませていただきました。私の話の中で、皆様が大きく反応したのは、2つありました。

1つは、私が23歳のときに転職した編集プロダクションが「ブラック企業」だったということ。

当時、仕事が終わるのはいつも日付が変わった頃でしたし、休みは日曜日と祝日のみ。何十時間残業しようが給料はずっと20万円のまま。たしかに今で言うところのブラック企業でしょう。

しかし、当時はブラック企業という言葉がありませんでしたし、写真やデザイン、コピーの仕事はこんなものだ、と思っていました。たしかにハードでしたが、それ以上に楽しかったのです。あの、2年半の編集プロダクションでの勤務がなければ、今の自分はないと断言できます。

とはいえ、私はブラック企業を肯定するつもりはありません。会社内でのイジメやさまざまなハラスメント行為、達成できるはずのない大きなノルマを課したりすることは絶対に良くないと思っています。もしも、私の息子がそんな会社に就職したら、そんな会社、絶対に辞めさせます。

でも、その反面、人が成長するためには、「無理をする」ことはある程度必要だと思っています。「できる範囲」でやっていては、成長のスピードはとてもゆっくりになります。とくに20代は何でも吸収できる世代でもあります。そんな大切な時期に守りに入っていては、もったいないとしか言いようがありません。

間違っていたら、ごめんなさい。皆様は、小学校も中学校も高校も猛勉強してきたでしょう。有名私立大学である関西大学なんて、そう簡単には受かりませんから。

なぜ、小中高とずっと勉強してきたのでしょうか?イイ大学に入って、イイ会社に就職して人よりもイイ給料を貰うためだと思うのです。でも、イイ会社に入るのがゴールではありません。だって、転職しなかったら小中高大の16年間よりもはるかに長い時間をその会社で過ごすんですよ。

私は1ミリも興味はありませんが、会社員生活の中では出世競争もあるでしょう。出世することに生き甲斐を感じるならば、どんどん上をめざせばよいのです。それに魅力を感じない人は仕事そのものにやり甲斐を見出さないと、それこそ時間の切り売りになります。だからこそ、自分の好きなことや、やりたいことを仕事にすべきなのです。

私は専門学校を卒業していません。だから、最終学歴は高卒です。この時点で皆様よりも圧倒的に劣っています。こんな私でも自由自在に生きることができるのだから、優秀な皆様なら、その気になれば必ずできます。どうか、自分の力を限定せずに、人生を雄々しく切り拓いてください。

考えてみれば、将来ある皆様が自由に夢を描くことができないような世の中を作ったのは、私たち大人の責任でもあります。

私に世の中を変える力なんてありませんが、私は私の生き方を貫くことで、こんなクソみたいな世の中でも楽しく、自由に生きることができることを証明してみせます。

もう1つ、最後に私が問いかけた「貴方は、何者だ?」という質問についても皆、沢山感想を書いてくれました。とくに多かったのが、「考えたことがなかった」というもの。これにはビックリしました。

前にも書きましたが、自分自身のことですよ。生き方なんて誰も決めてくれません。そりゃ親や友人はアドバイスはしてくれるかもしれません。でも、最終的には自分で選択して、決断しなきゃならないのです。

私は50歳になる3ヶ月前に自分自身を見つめ直しました。そこで気がついたのは、あれだけやり甲斐を感じていた仕事がいつの間にか、作業になっていたということでした。作業、つまり、そこにクリエイティブな発想はなく、これまでの経験値で、〆切に間に合うようにこなしていただけだったのです。

そこで私は過去にやってきたことを否定することからはじめました。その中で自分が為し得たことは何だったのかを徹底的に追求しました。たった一つ、肯定できることがありました。それは、カメラマン兼ライターになったということだけでした。

信じられないかもしれませんが、すごく心が軽やかになりました。カメラマン兼ライターとして、ここからもう一度キャリアを積み重ねていこうと心に決めました。以来、仕事に対する意識や取り組み方も大きく変わりました。今は取材や撮影の現場に行けることが嬉しくて、楽しくて仕方がありません。

51歳の私でさえ、生き方に迷うのです。まだ生き方が定まっていない皆様が迷い、悩むのは当たり前だと思います。でも、中学生も、高校生も、大学生も自分の将来や生き方について考えるのは、卒業が目前に迫った頃だけ。

ネットを見たり、ゲームをしたりすれば一日はあっという間に過ぎてしまいます。穿った見方をすると、世の中そのものが物事を深く考えなくてもよいような仕組みになっているのです。世の中を動かしている人に私たちは犬や猫のように、飼い慣らされているのです。そんなくそったれの人生なんて、私はまっぴらごめんです。

もう一度、皆様に問います。

貴方は、何者だ?

 

令和2年6月10日

永谷正樹