永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

新しい相棒。

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このブログに使っている、モノクロのスクエア写真は、ほとんどRICOH GRというコンパクトデジタルカメラで撮影したものである。発売された2013年に購入し、ずっと使っていた。

どこへ行くのにもGRは必ずバッグの中に入っていた。仕事で使うカメラは時が経つとためらうことなく下取りに出して新しいモデルを買う。そういうものだと思っている。しかし、なぜかGRには愛着があって、手放せないのである。

今でも十分使えるのだが、1620万画素をスクエア(正方形)で使うということは、それだけ画素数が落ちるわけである。ある程度の枚数が溜まったら写真展をやりたいと思っているので、大きくプリントできないのは非常に困るのだ。

で、今年3月に発売されたRICOH GR IIIを購入した。カメラに興味がない方は、「ふーん」くらいの浅いリアクションだと思う(笑)。このGRIII、コンパクトデジタルカメラのくせに10万円以上もしやがるのである。と、聞くと「えー!」と驚くだろう(笑)。

仕事にほとんど使わないカメラに10万円以上も使うとは正気の沙汰ではない。でも、こいつにしか撮れない写真があるのである。スクエアで撮れること。モノクロの階調がすばらしいこと。それと、28ミリ単焦点のGRレンズのすばらしい描写力。10万円以上の価値があるのだ。

GRで撮影したモノクロのスクエア写真を、私は「大名古屋モノクローム」と名付けた。名古屋の街で、または誰かにGRを向けて、正方形の液晶モニターを覗くだけでワクワクする。こんな気持ちになるのは、GRかハッセルブラッドしかない。

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私にスクエア写真の楽しさを教えてくれたのは、スウェーデン製のカメラ、ハッセルブラッドだ。写真専門学校の同期、M崎が持っていて、「触ったら欲しくなるよ♡」と言われた。そんなことはあるはずがないと思った。しかし、手に取って、ファインダーを覗いた瞬間、恋に落ちた(笑)。なんと、想像力をかき立てるカメラなんだろう、と。

当時はすでに仕事はデジタルオンリーになっていたものの、ハッセルブラッドは今のように値崩れしていなかった。とにかく、私はキレイな筐体のハッセルにこだわった。ヤフオクや中古カメラ店を探しまわって、やっと今池の松屋カメラで見つけた。たしか、↑この写真の組み合わせで30万円くらいはしたと思う。今でも、ここ一番!という作品を撮るときにフィルムを詰めて使っている。

私はこのハッセルを“北欧の恋人”と呼んでいる(笑)。中古で買ったが、あまりにもキレイ。このハッセルの「彼氏」は前ユーザーだけだったと思われる(笑)。一方、写真専門学校のM崎やM山のハッセルはボロボロ。M山にいたっては、ジャンク品を安く買って、修理して使っている。その技術は素直にスゴイと思うが、そのハッセルは、今まで何人の男とつき合ってきたのかわかりゃしない(笑)。って、私は何を書いてんだか(笑)。

「人生を変えるにはカメラを替えればいいんだよ。」とは、天才写真家・アラーキーの言葉である。私も新しい相棒、GRIIIで人生を変えてやろうじゃないか。