永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

もう、コンデジは要らない。

えーっと、もう10年以上前になるかな。昔は、コンパクトデジタルカメラ、通称“コンデジ”にもこだわっていた。

と、いうのは、取材の下調べで店へ行った際に、食べた料理を記録する必要があったのだ。撮影した写真は原稿を書くときの確認用だけではなく、誌面でも使われた。

だから、少しでもキレイに撮れて、できるだけ被写体に近寄って撮影できるコンデジを買っていた。

ところが、スマホが普及し、内蔵カメラの性能も良くなってくると、カメラメーカーはコンデジの開発をやめてしまった。現在販売されているコンデジは初心者向けのモデルはなく、よりマニアックになっている。

iPhone 11 Pro が発売されたとき、コンデジの時代は終わったと思った。何しろ、広角のほか、超広角と望遠と3つのレンズを搭載しているのだ。

基本、料理の写真は、歪みの少ない望遠レンズで撮影する。広角レンズ1つのiPhone 7や8、XRではデジタルズームで撮影するしかない。つまり、広角レンズで撮影した写真をトリミングすることになるので、印刷に耐えられないケースも出てくるのだ。

今年1月、私はiPhone 11 Pro の中古を購入した。以来、このブログに載せている写真の大半はそれで撮影している。

前にも書いたと想うが、『おとなの週末web』で連載中の「ニッポン“チャーラー”の旅」の写真もすべてiPhoneだ。

カメラの性能としてはまさに言うことなしだが、唯一の欠点はシャッターボタン。コンデジと違ってスマホの画面にあるので、手ブレが多いのだ。プロのくせに(笑)。

そこで、4月頃に↑スマホ用のシャッター付きグリップを買った。シャッターはiPhoneとBluetoothで接続し、グリップから分離してリモコンにもなる。三脚用のネジ穴もあるスグレモノだ。

とはいえ、実際に付けてみると大きくてポケットにも入らないため、ずっと使わないまま放置していた。

そんな中、ある料理を集中的に食べ歩いてレポートするという仕事を請けた。どのカメラを使おうかと考えたときにこのセットを思い出した。

ついでにRAWデータの無音撮影ができるアプリ「RAWカメラ」もインストールした。RAWとは、「素材のまま」や「生」という意味で、その名の通り、生のデータ。それをLightroomなどのソフトで加工して、皆様にもお馴染みのjpgに書き出すのだ。

ちなみにjpgの画像データは、加工すればするほど劣化してしまうが、RAWの場合はそれがない。仕事用のミラーレス一眼も私はRAWで撮影している。それがiPhoneでできるのは革命的なことなのだ。

食べ歩きレポートの仕事は、すべてこのセットで行おうと思う。