永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

その考察が面白いか否か。

Yahoo!のトップ画面にはニュース以外にグルメ情報も出てくるので、興味のあるものはだいたいチェックしている。

しかし、得られるのは本当に情報だけで、食べ歩きのグルメブログと何ら変わらない。たいていは外観や店内の写真からはじまり、メニューブックの写真や注文した料理の写真へと続くパターン。

文章は写真の下にちょろちょろっと。そして、最後の決まり文句。

今回、◯◯の✗✗を紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?

何じゃそりゃ。もはやこれは記事とは言えない。写真の下に文字がちょろちょろならキャプションだろう。でも、それが1つの記事として成り立っているからスゴイ。

先日、福田ちづるさんとレモン博士と食事へ行ったとき、メディアの内容が「浅い」という話題になった。

それはネットのメディアに限ったことではないと私は思っている。

何年か前に地元のニュース番組のグルメ情報コーナーに出演したときのこと。レポーターは地元出身のお笑い芸人のコンビだった。

店やメニューを紹介するというよりも、彼らのトークやギャグ、ネタ見せが先行してしまい、見終わった後には店の情報は何も残らなかったのだ。

断っておくが、芸人を起用するのが悪いというわけではない。チャンカワイさんのように料理人や生産者をリスペクトしている方もいるし。

グルメロケを芸人任せにして、ギャグやネタで撮れ高を稼ぐという安直な考え方をするつくり手側に問題があるのだ。いや、当の本人は問題意識すらないだろう。つまりは「浅い」のだ。

文章力のない私が言っても説得力がないかもしれないが、見たものや感じたことをそのまま書くのではなく、書き手の考えを織り交ぜながら書くこと。それが読ませる文章、すなわち「厚み」になるのだと思う。

それはグルメの紹介記事であっても、なぜその店を選んだのかとか、なぜその店(料理)は人気なのかなどを分析して書くのだ。極端な話、それが正解かどうかは問題ない。書き手個人の考えなのだから。

考察するには蓄積された知識や経験が必要になるし、正解を求めるならば、やはりきちんと取材することだ。それに尽きる。

自分が得意とするジャンルに対して、考察する。それを編集者から「面白い」と判断されれば仕事に繋がる。それがライターの仕事だと私は思っている。