永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

限りなく勝訴に近い和解。

写真を無断使用した居酒屋運営会社を相手に起こした裁判が終わった。少額裁判ゆえに即日結審となる。指定された306号法定へ行くと、会議室のような狭い部屋だったので拍子抜けした。

始まるのを待っていると、写真専門学校の同期、M崎が入ってきた。傍聴へ来てくれたのだ。同業者では、「なメ研」の代表理事を務めている関口さんと後輩カメラマンの姿もあった。

さらに、「Xを見て来ました」という初対面の方も。いやー、むちゃくちゃ心強かった。皆様、ご多忙の中、お集まりいただいてありがとうございました!

部屋の中央に楕円形のテーブルが置かれていて、裁判官が上座でその右隣が事務官、その隣が被告人席。原告席は被告人席の向かい側。

居酒屋運営会社の社長は来ておらず、代理人の弁護士が出廷していた。

裁判が始まり、裁判官は開口一番、

「訴状と答弁書について、間違いはありませんか?」と私と相手方弁護士に確認した。

私は新たな証拠を用意してきたので、それらを裁判官に見せると、裁判官は少し困ったような表情を浮かべた。そして、

「では、原告と傍聴人の皆様は一旦、外へ出てください」と、裁判官。

訴状や答弁書について喧々諤々の議論をすると思っていたので、これまた拍子抜け。

5分も経たないうちに呼ばれて、再び法定へ入ると、裁判官は和解を勧めてきた。

いやいや、ちょっと待て。こっちは苦労して撮影した写真を「著作権法による保護の対象外」とまで答弁書に書かれているわけだし、無断使用したことについても「争う」とある。そっちがその気なら、受けて立つぞ!ゴルァ!と思っていた。と、裁判官に話すと、

「まぁ、弁護士も依頼人の手前、そのように書かなければならなかったんですよ。逆に本当に争う気なら、膨大な証拠が必要になりますが、これだけ(ペラ2枚)ということは、『争う気はないんだな』と、裁判所は判断してしまうんです。答弁書に書かれているのは“枕詞”のようなものだと思ってください」と、裁判官は私をたしなめた。

私は納得できず、これまでずっと無視されてきたことも裁判官に話した。

「でも、今回、弁護士をつけたということは解決する気があってのことですから。中には弁護士もつけず、答弁書も出さないような人もいますから。答弁書に書かれたことは、あくまでも無効の言い分であって、裁判所はそう思っていませんから」

その裁判官の一言で救われたような気がした。そして、和解を受け入れることにした。

再び、法定から出るように言われて、外で待っていると、先ほどよりも早く呼び出された。和解によって譲歩した賠償金額を弁護士は相手方に伝えて、それを受け入れるかどうかすぐに確認をするとのことだった。

再び法定から出されて、またすぐに呼び出された。どうやら、相手方は和解条件をのんだらしい。賠償金は請求した金額の2/3。年内に支払われるとのこと。もしも、支払われなかったら、相手方が代理人として立てた弁護士にしっかりと請求させていただこうと思う。

裁判は時間にして30分くらい。思っていたのとかなり違ったが、限りなく勝訴に近い和解と受け止めてもよいだろう。年内に決着したのもよかった。

残すは弁護士を入れて示談交渉中のもう1件のみ。これも年内に終わらせたいなぁ。

 

※写真は裁判終了後に後輩カメラマンが撮ってくれた1枚をモノクロに加工。「勝訴」と書かれた紙を用意しておけばよかったと激しく後悔した(笑)。