永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

試みの名鉄犬山線。おかわり

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関西大学総合情報学科の学生たちから寄せられた質問に私、ナガヤが答える『試みの名鉄犬山線』は全4回で終わった。はずだった(笑)。ところが、ゲスト講師のオファーをいただいた編集者の亀松太郎さんから「追加で何人かから質問がありました」との連絡をいただいた。ってことで、それらも答えることにする。

 

・今はグルメ取材をメインにやられていると講義内でおっしゃっておられましたが、もし別の分野を取材できるとなれば、どのような分野でやってみたいですか。

 

うーん……。40歳を過ぎた頃から、だんだんと世の中の不条理なことや矛盾していることが分かってきました。もしも、やり直せるなら、大学に入って政治や経済について学んで、硬派なジャーナリストになりたいですね。とくに貧困児童や教育格差をテーマに取材がしたいと思っています。えっ!?意外だって(笑)?

 

・カメラから離れて違う仕事をしようと思ったことはありますか?

 

ないですね。それだけ写真の道は深いのです。ただ、カメラマンを志す前に、学校の先生になりたいと思っていた時期がありました。でも、それはこうしてゲスト講師をすることで叶いました(笑)。

 

・仕事をされるうえで一番大事にしているもの。

 

読者様です。読者様の代わりに食べに行って、読者のためになる情報をお届けするということです。これは、私の師匠である『おとなの週末』編集部の初代担当編集者がいつも言っていたことです。

読者様が雑誌を買うことで出版社の経営は成り立っていますから、すなわちそれは読者様あってのライターであり、カメラマンであるわけです。だから、読者様にとって有益な情報をお届けするということがいちばん大切だと思っています。

また、飲食店を取材して、記事になれば集客につながります。だから、頑張っている店を応援したいという気持ちもあります。私は、予約が取れないほど人気がある店はまったく興味がありません。味はもちろんですが、料理や接客などあらゆることに対して真摯に取り組んでいる店主がいる店に出会うと、取材したくなりますね。

記事を読んだ読者が喜び、取材して記事になった店が喜ぶから、それが私の喜びになるのです。本当にすばらしい仕事だと思っています。

 

・もっとグルメについて知りたいです。

 

ネットで検索すれば、私が記事や写真を提供しているグルメ情報サイトやグルメブログなどありとあらゆる情報が出てきます。でも、いちばんためになるのは、実際に食べに行くことです。大学生ゆえにお金がないかもしれませんが、一生懸命アルバイトをして、高級な店へ足を運んでみてください。そこから学ぶことは本当に多いと思いますよ。

 

・今までで、これはもう撮ることができないという写真はありますか?

 

いつもそう思って仕事をしています。いくら同じ場所で同じものを撮影したとしても、まったく同じ写真は撮れません。照明の位置を少し変えるだけでまったく印象の異なる写真になるのです。人を撮る場合も同じです。同じ場所で同じ人を撮っても、そのときの心境が違えば、違う表情になるのです。だから、写真は面白いのです。

 

・アンダーグラウンドを取材して危険な目にあったりしませんでしたか。

 

編集プロダクションでの下積み時代には、ヤクザやホスト、風俗嬢などアンダーグラウンドな人たちばかりでした。が、彼らをバッシングするわけではないので、危険な目に遭ったことはないですね。むしろ、彼らは私のことを同類というか、よき理解者だと思っていたかもしれません。

取材相手から本音を引き出すには、いろんな方法がありますが、もっとも手っ取り早いのは、相手が自分のことを友達だと思ってもらうことです。友達ならば何でも本音で語りますからね。私は今もその方法で仕事をしています。

逆に相手を怒らせて本音を引き出すという方法もあります。調べ尽くした証拠を目の前でポンと出して相手の反応をうかがう、最近流行の(?)文春砲もその部類でしょうね。

 

・仕事に夢中になっている時、周りが見えなくなる時はありましたか?

 

見えなくなるというか、見てないですよね(笑)。例えば、家族。いや、女房かな。彼女は私が仕事に集中できることを最優先にしてくれているので、それに甘えきっています。

私には趣味もないし、仕事しかないんです。自分でもなんとツマラナイ人間だろうと思いますよ。その反面、写真や文章はオノレの人生を懸けられるだけの価値があると自分に言い訳をしています。

 

以上。

 

亀松さんによると、関西大学は7/31まで学校へ行かず、講義をリモートで行うという。大学院生と大学2年生になる私の息子たちもアルバイトは少なくなっているし、ほぼ毎日家にいる。

時間があるだけに3年生や4年生は将来のことについて、いろいろと考えることがあるだろうが、この機会に自分自身としっかりと向き合って、これからの生き方を決めていってほしい。

このブログは、タイトルに「なごやめし」とあるように、もともとグルメブログとしてはじまった。しかし、講義でも話したように、自分自身に「お前は何者か?」、「お前は何がやりたいのか?」、「お前のめざすものは何か?」を自問自答しまくって、思ったことを書き留めるようになって今に至る。

私が死んだときに、息子たちがこのブログを読んだら、これから生きていく上で役に立つかもしれないという思いもあって、毎日書いているのである。よろしければ、バックナンバーもご覧いただきたい。