永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

義。

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あるお店から、ネットの記事が公開されたことへのお礼状が届いた。

ご主人はネットどころか携帯電話すら持っていない、いや、持たない主義かもしれない。記事が公開されたことを伝えるために、私は記事をプリントアウトして、お店に送ったのだった。それを見てくださったのだろう。

お礼状には、写真がキレイだったこと、奥様共々喜んでらっしゃることが綴られていた。さらには、「あまり褒められると天狗になる」と、正直な気持ちも述べておられた。最後に書かれていた一文に私は心を奪われた。

「そばを愛し、人として義を全うし、一生懸命そば屋をやってまいります」

人として義を全うする。「義を全うする」とは、「義を貫く」とも言い換えることができるだろう。すなわち、損得ではなく道義を第一として生きるということだ。実にご主人らしいし、私もそうありたい。

フリーになってから、ずっと心がけているのは、仕事の順番。一旦、仕事を請けたら、後からどれだけギャラの高い仕事のオファーが入っても、先に請けた仕事を優先する。スケジュールを調整したり、代役を立てたりは絶対にしない。信用にかかわるし、仕事のオファーをくださった方への「義」だと思うからだ。

50歳になってからは、これから身体が動かなくなって仕事を引退するまで、自分自身が納得のいかない写真や文章は絶対に世に出さないと決めている。仕事はもちろん、このブログやSNSに到るまですべて。

これから先、どれだけ写真を撮れるのか、文章を書けるのかわからないから、後から自分で見て恥ずかしくなるようなものは絶対に出したくないのだ。それも、読者様に対する「義」だと思っている。

S木さん、このたびはありがとうございました。何だか、原点に戻れたような気がします。私も人として義を全うし、一生懸命取材して、撮影して、文章を書きます!