永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

パンダになりたい。

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海千山千のカメラマン、ライターの世界において、誰からも尊敬を集めている先輩がいる。本当に彼のことを悪く言う人は誰一人いない。動物に例えると、誰からも愛されるパンダのような存在だ。私もそういう人になりたかった……。

私を動物に例えると……オオアリクイだな(笑)。アリクイ業界?では超メジャーだけど、アニマル業界ではほぼ無名(笑)。しかも、アリにメチャクチャ嫌われている(笑)。

なぜ、こんな話をするかというと、実は最近、ある仕事のオファーを断ったのである。と、いうか、企画内容が合わなかったのだ。

皆様も知っての通り、今は出版不況。雑誌が売れず、私のような地方在住のカメラマンやライターは仕事が激減した。ここ3年くらいで紙媒体とweb媒体の仕事量が逆転してしまったのである。そんな状況の中で紙媒体の仕事、それも地元では有名な雑誌の編集部からのオファーだった。

本来であれば喜ぶべきことだろうが、私はフリーになった26歳のときから、地元誌の仕事はやらないと決めていた。それは、料理や人物、建築、スポーツとジャンルを問わずに何でも撮ったり、書いたりせねばならないからだ。あ、これは私が勝手に思っていることなので、間違っているかもしれないが。

私はそんなに器用ではないし、将来を考えたときに何か専門分野があったら食いっぱぐれることはないと考えていた。実際、東京の出版社では、何でもできる者よりも、何かに秀でた者の方が重宝される。17年ほど前から食をテーマとしてきたおかげで、今まで何とかやってこれたと思っている。

まぁ、地元雑誌の仕事を受けないのは、ほかにもいろいろ理由はあるが、ここでは割愛させていただく。ただ、最近では、グルメ取材に限り、その他大勢の中の一人ではなく、自分にしかできないことであれば、媒体を問わず、やらせていただこうとは思っていた。

電話をくれた編集者は、つき合いのあるカメラマンやライターに私の連絡先をたずねたそうだが、誰一人知らなかったらしい。彼らと私はお互いにまったく接点がない、違うところで仕事をしているのだということも実感した。その編集者からは、

「今回は企画の内容が合わないということでしたが、今後機会がありましたら是非お願いします。ウチはほかにもいろんな雑誌の仕事をしてますので是非そちらの方でも」とのお言葉もいただいた。

私のことはブログやweb媒体の記事を見て知ったらしい。私のような木っ端ライターが書いた雑文に目を通していただき、お声までかけていただいたことは本当にありがたいことである。しかし、

「私にしかできないようなことであればお手伝いさせていただきます」と大変失礼なことを言ってしまったのである。その直後、自分がメチャクチャ生意気な奴に思えたので、

「すみません!何か、自分、今、めちゃくちゃ生意気なこと言ってますよね。本当にごめんなさい」と謝りまくった。

「いえいえ、とんでもない!」とおっしゃっていたが…。

「ドブライターの分際で思い上がってんじゃねーよ!」と思われただろうな、きっと。

嗚呼、誰からも愛されるパンダのような存在に私はなりたい。

喰った者を狂わせる!? 史上最強の〆ご飯

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「変態焼肉」の会場である名古屋市天白区『天火山』は、何を注文してもハズレはない。だからこそ、イイ年したおじさんやおばちゃんが「うんめーーーーーっ!」と絶叫してしまうほど盛り上がるのだ。

なかでもいちばん旨すぎて驚いたのが、〆のご飯「牛めし」。おそらく、いや、絶対に史上最強の〆ご飯であると断言できる。

牛めしに使用している肉は、1人1回しか注文することができない「薄切り塩カルビ」。それを玉ネギとともに特製ダレでさっと炒めてある。「薄切り塩カルビ」は、力強い味わいの前バラ。肉そのものの旨みと上品な脂の口溶け、甘辛い特製ダレが相まって、箸が止まらなくなる。

しかも、値段は驚きの450円。卵黄のトッピングが50円で計500円。大きめのご飯茶碗に入っているとはいえ、あまりにも安すぎる。牛丼チェーンじゃないんだから(笑)。

f:id:nagoya-meshi:20190201231338j:plain何といっても、卵黄を潰して、全体に馴染ませて喰らうのがオススメだ。卓上にある唐辛子やコチュジャンをかけても旨い。もう、今思い出しただけでムショーに喰いたくなる。ああ、今すぐ喰いたひ!

私なんか、焼肉をおかずに白メシ大を喰った後でも注文する。この前なんか、「変態焼肉」初参加の女子とカメラマン仲間が一杯の牛めしを巡って醜すぎる争いが勃発してたもんな(笑)。結局、もう一杯追加注文したけど(笑)。

人を狂わせる牛めし。まさに「変態焼肉」には欠かせない必須メニューだ。

変態焼肉バンザイ!

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↑天白区『天火山』の「薄切り塩カルビ

寿司と焼肉。嫌いな人はそんなにもいないだろう。しかし、それぞれの楽しみ方は大きく異なる。

これは私の持論だが、寿司は自分へのご褒美で1人で食べに行くか、記念日に大切な人と2人で行くのがベストだと思っている。

寿司を口の中に入れると、シャリがほどけてネタの旨みと一つになる。その瞬間、全身の細胞が喜んでいることがわかる。しかし、その喜びは自分自身が無言で噛み締めるものなのである。

だから、寿司は1人か2人で行くのがベストなのだ。

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↑肉とキムチをオン・ザ・ライスで

一方、焼肉はどうか。

噛むごとにほとばしる肉汁と脂。奮い立つような旨さに

「うんめーーーーーっ!」と声を出さずにはいられなくなる。いわば、喜びを外へ向けて表現し、多くの人とそれを分かち合うのが焼肉の楽しみ方なのである。

少し前、私のFacebookで友人たちをザワつかせたことがあった。

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↑福田知鶴さんと『天火山』の店主、丹羽一幸さんと末美さん夫妻

福田知鶴さんが20年来通っている天白区の焼肉店『天火山』へ知鶴さんの友達やカメラマン仲間たちと食べに行ったときのこと。

あまりの旨さに、おっさんもおばちゃんも年齢も忘れて、大騒ぎしてしまったのである。さらに、私も含めてカメラマンが数人集まったものだから、どこからともなく

「焼肉を食べてるだけなんだけど、エロい写真を撮ろうぜ♡」てな話になり、私と知鶴さんがモデルになった(笑)。そんなことから、仲間内で『天火山』での食事会を「変態焼肉」と呼ぶようになったのである。

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↑『天火山』の〆ごはん「牛めし」に卵黄をトッピング

それをFacebookにのせたところ(現在は非公開)、友人たちをかなりザワつかせてしまった。それどころか、Facebookでつながっている人とリアルに会うと、

「『変態焼肉』って…。アレ、何なんですか!?」と、聞かれるようになった。

一昨日、取材で訪れた店のオーナーシェフにも同じことを言われた。彼とはFacebookでつながっていたものの、初対面だったのだ。しかも、

「ヤバイ人が取材に来ると思ってました」って(笑)。

いやいや、たしかに私の周りは変態だらけだが、私はマトモだから!言ってみれば、珍獣を眺めるスタンス(笑)。くれぐれもそこは間違えないようにしていただきたい。

matomeshi.jp

ちなみ『天火山』は、『まとメシ』でも福田知鶴さんとともに紹介させていただいた。大騒ぎしつつも、グルメライターとしての仕事は忘れてはいないのだ(笑)。

ハグのチカラ。

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あ、最初に言っとくけど、引かないでね(笑)。

この前、21歳になる長男を抱きしめた。

台所で洗い物か何かをしているときだったから、手はふさがっていて、完全に無防備(笑)。で、後ろからギュッと。

身体と心に伝わってくる温もりっていうか、何ともいえない心地良さが幼い頃にハグしたときとまったく変わらなかった。

フツーなら、「鬱陶しいわ!」とか「キモイわ!」とか言って、キレかねないだろう。私だったら、絶対にキレていたな、うん。しかし、長男は無言。

これには理由がある。

長男が3歳か4歳の頃、私はよく「ほっぺ」を触っていた。長男のシミもシワがまったくなく、トゥルントゥルンのポヨンポヨンの「ほっぺ」が大好きで、1日に1回以上は必ず触っていたし、チューもしていた。

ところが、ある日、「ほっぺ」を触る私の手を長男が払いのけた。軽くショックを受けていると、

「パパはね、ひろくんのことが大好きだから触るんだよ」と、女房がすかさずフォローしてくれた。以来、触っても、手を払いのけることはなくなった。

つまり、長男は「大好きだから触る」ことを理解したのだ。さらに、触られるたびに「自分は愛されている」と自覚する。なんて、すばらしいスパイラル(笑)。

5年ぶりくらいにハグをしたおかげで、思いっきり癒やされた。

次のターゲットは、次男だな(笑)。大学受験が終わったら、ギュッと抱きしめよう。

チャーラーのためのチャーハン。

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今さら?と思われるかもしれないが、最近、町中華に注目している。きっかけは、『Yahoo!ライフマガジン』の取材で久しぶりに訪れた中川区八剱町『人生餃子』。

lifemagazine.yahoo.co.jp

店主の水谷伸二さんは、

「お腹一杯食べて、お客さんに元気になってもらうのが中華屋の使命だと思っています」と語った。

まさに、その通りだと思った。23歳から25歳の半ばまで、私は編集プロダクションで働いていた。毎日、帰りが遅く、帰宅途中に夕食を済ますことも多かった。当時は、深夜に開いている店は少なく、いつも中華屋でラーメンとチャーハン、唐揚げのセットを食べていた。

店主も店員も決して愛想はよくなかった。いや、むしろ、無愛想。しかし、料理はとても美味しく、「今日も一日よく頑張った!」と、自分を労る気持ちになった。

今日は、何となく「チャーラー」(チャーハンとラーメンのセット)が食べたくなり、近くの店をネットで検索。すると、『食べログ』で“神チャーハン”と評されている店がヒットした。

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それが小牧市にある『ギョーザ・ラーメン 大八』である。

カウンター席だけの小さな店を想像していたが、テーブル席も4つくらいあって、わりと広々としていた。お昼のピーク時を避けて行ったので、客は私以外に2人。いずれもチャーラーを頬張っていた。私も迷わず、チャーハン+ラーメンの「Aセット」を注文した。

隣の席から、チャーハンをかき込むときにレンゲが皿に当たる音が。何だか、急にお腹が空いてきた。もう、頭の中はチャーラーでいっぱい。厨房に目をやると、ご主人が慣れた手つきで中華鍋を振っていた。その音も食欲をそそられる。

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注文して10分くらいで目の前に料理が運ばれた。“神チャーハン”は後ほどレポートするとして、まずはラーメンから。

具材はチャーシューとメンマ、海苔、モヤシ、ネギ。セットのラーメンだからといって手抜きはせず、きちんと作ってあると思った。

まずは、スープをひと口。うん、見た目はあっさりとしているが、しっかりとコクがある。麺はやや縮れがあるのかな。スープが絡んで旨い。これぞ中華屋のラーメンだ。

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そして、チャーハン。具材はチャーシューとネギ、玉子といたってシンプル。注目すべきは、ご飯のパラパラ感。お米ひと粒ひと粒が油でコーティングされているのだ。

肝心な味だが、塩ベースの実にやさしい味。しかも、奥行きがあって、食べていても飽きることはない。チャーハンを作る際、鍋のフチに醤油をたらして香り付けする。わが家では香り付けどころか多めに入れて醤油の味もくわえているが、このチャーハンに限っては不要だと思った。

チャーハンだけ、あるいはラーメンだけ食べても十分に旨いが、それぞれを交互に食べると、単体では感じなかった味に到達するのである。おそらく、チャーハンの醤油が強いと、ここまで調和された味にはならないと思うのだ。

ここのチャーハンは、チャーラーのためのチャーハンであり、ここのラーメンは、チャーラーのためのラーメンなのである。

ちなみに、この「Aセット」は600円!巷のラーメンよりも安い。町中華、やっぱり奥が深い。

灯台もと暗し。

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灯台もと暗し」とは、このことである。

私の地元の飲食店といえば、チェーン店ばかりでまったく面白くないと思っていた。が、あったのである。イイ店が。しかも、頻繁に通る道に。

それは名鉄犬山線徳重名古屋芸大駅前にある『AFuRe kitchen(アフレキッチン)』

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「訪れた人の笑顔が“溢れる”ように」との思いを込めて、若きオーナーの稲月貴啓さんが2016年11月に開店させたという。

料理は基本的にイタリアン。居酒屋とレストランの中間あたりを狙っているそう。うん、それは正しい。何せ私の地元は田舎なので、あまり本格的な店だと引いてしまう(笑)。

メニューはこんな感じ。

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「モッツァレラとバジルのマルゲリータ」(880円)。米粉と全粒粉を生地にくわえてあり、ほのかな甘みともっちりとした食感が特徴。冷めても十分美味しく食べられる。

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こちらは、「AFuRe風カツレツ」(1180円)。細かくカットしたトマトとバジル、チーズとの相性は抜群のひと品だ。

料理もさることながら、注目したのは太っ腹なサービス。

なんと、「もろみキュウリ」や「野菜のマリネ」、「自家製ピクルス」、「カボチャの葱オイル和え」、「グリーン&ブラックオリーブ」、「カシューナッツの飴がらめ」、「ミックスナッツ」と全7種類のタパス(各280円)が、17時半~19時までなんと、半額になるのだ。

また、グラスワイン7種類2時間飲み放題を1580円で実施している。生ビールや焼酎、自家製サングリアものみたいという方は+500円でOK。

近々、呑みに行こうと思っている。誰と行こうかな♪

なぜ、撮るのか。

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「なぜ、撮るのか」

ずっと自問自答している。

食っていくために、撮る。

もちろん、それは否定できない。

オノレが撮った写真でお金をいただくわけだから、どうしたらもっとキレイに撮れるのかを常に考えている。

ときには、仕事場で照明機材を広げて、テストを繰り返したりもする。

また、機材や道具がそれを助けてくれると思ったら、躊躇なく買う。

こんな程度のことは、プロと名乗る者であれば誰でもやっていること思う。

食っていくために、撮る。

それは間違いではないが、すべてではない。

なぜなら、1円にもならないのにオノレの「撮りたい」という気持ちのままにシャッターを切るからだ。そこにプロ、アマは関係なく、カメラマンの数だけその動機があると言っていいだろう。

私の場合、心が動いてシャッターを押したくなる瞬間は主に二つ。

一つは「記録」としての写真。

オノレがこだわっている人や場所、物を、オノレの視点で記録に残す作業である。子供の成長記録や定点観測的にこだわりのある場所で撮影するのもこれに当たる。

そして、残り一つは、「欲望」を満たすための写真。

もしも、それが卑猥に聞こえるのであれば、「生きていく」ための写真と言い換えてもよい。逆にそれがなかったら、生きている意味がなく、私の人生はクソつまらないものになっているに違いない。

以前にブログで「ファインダーを覗いているときは『生きている』実感に満ち溢れている」と書いた通り。もっと言うと、ファインダーから見える光景の、この瞬間は、誰のものでもなく自分だけのものなのだ!と思うのである。この気持ちはなかなか理解してもらえないかもしれない。

「なぜ、撮るのか」

ずっと自問自答している。