永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

チャーラーのためのチャーハン。

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今さら?と思われるかもしれないが、最近、町中華に注目している。きっかけは、『Yahoo!ライフマガジン』の取材で久しぶりに訪れた中川区八剱町『人生餃子』。

lifemagazine.yahoo.co.jp

店主の水谷伸二さんは、

「お腹一杯食べて、お客さんに元気になってもらうのが中華屋の使命だと思っています」と語った。

まさに、その通りだと思った。23歳から25歳の半ばまで、私は編集プロダクションで働いていた。毎日、帰りが遅く、帰宅途中に夕食を済ますことも多かった。当時は、深夜に開いている店は少なく、いつも中華屋でラーメンとチャーハン、唐揚げのセットを食べていた。

店主も店員も決して愛想はよくなかった。いや、むしろ、無愛想。しかし、料理はとても美味しく、「今日も一日よく頑張った!」と、自分を労る気持ちになった。

今日は、何となく「チャーラー」(チャーハンとラーメンのセット)が食べたくなり、近くの店をネットで検索。すると、『食べログ』で“神チャーハン”と評されている店がヒットした。

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それが小牧市にある『ギョーザ・ラーメン 大八』である。

カウンター席だけの小さな店を想像していたが、テーブル席も4つくらいあって、わりと広々としていた。お昼のピーク時を避けて行ったので、客は私以外に2人。いずれもチャーラーを頬張っていた。私も迷わず、チャーハン+ラーメンの「Aセット」を注文した。

隣の席から、チャーハンをかき込むときにレンゲが皿に当たる音が。何だか、急にお腹が空いてきた。もう、頭の中はチャーラーでいっぱい。厨房に目をやると、ご主人が慣れた手つきで中華鍋を振っていた。その音も食欲をそそられる。

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注文して10分くらいで目の前に料理が運ばれた。“神チャーハン”は後ほどレポートするとして、まずはラーメンから。

具材はチャーシューとメンマ、海苔、モヤシ、ネギ。セットのラーメンだからといって手抜きはせず、きちんと作ってあると思った。

まずは、スープをひと口。うん、見た目はあっさりとしているが、しっかりとコクがある。麺はやや縮れがあるのかな。スープが絡んで旨い。これぞ中華屋のラーメンだ。

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そして、チャーハン。具材はチャーシューとネギ、玉子といたってシンプル。注目すべきは、ご飯のパラパラ感。お米ひと粒ひと粒が油でコーティングされているのだ。

肝心な味だが、塩ベースの実にやさしい味。しかも、奥行きがあって、食べていても飽きることはない。チャーハンを作る際、鍋のフチに醤油をたらして香り付けする。わが家では香り付けどころか多めに入れて醤油の味もくわえているが、このチャーハンに限っては不要だと思った。

チャーハンだけ、あるいはラーメンだけ食べても十分に旨いが、それぞれを交互に食べると、単体では感じなかった味に到達するのである。おそらく、チャーハンの醤油が強いと、ここまで調和された味にはならないと思うのだ。

ここのチャーハンは、チャーラーのためのチャーハンであり、ここのラーメンは、チャーラーのためのラーメンなのである。

ちなみに、この「Aセット」は600円!巷のラーメンよりも安い。町中華、やっぱり奥が深い。