永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

息子たち、帰る。

長男と次男がそれぞれの家に帰っていった。急に家の中が静かになった。

私も女房も仕事だったため、家族で出かけたり、食事へ行ったりすることはできなかった。だからせめてランチでも一緒に行こうと誘ったところ、長男は急ぎの用があるらしく、昼前には家を出た。

一方、次男は14時20分の新幹線に乗るそうで、時間に余裕があった。向かったのは、お気に入りの喫茶店。駅から近いし、何よりも私が仕事の気分転換に訪れる場所を知ってほしいという気持ちもあった。

私が注文したのは、チキンカツと魚フライのランチで、次男は唐揚げと魚フライのランチ。そのボリュームに驚いていた。

食べながら仕事のことや将来のことなどいろんなことを話した。長男は自己肯定感が強いが、次男はその逆。ゆえに今の世の中がとても生きにくいと感じているようだ。

しかし、私はそんなに心配していない。相撲に例えると、土俵際ギリギリのところで踏ん張って、火事場のクソ力を発揮できるのが次男なのだ。生きにくいと感じるのは真面目な性格ゆえのことであり、いろんな経験を積むことで必ず乗り越えることができると私は信じている。

長男に関しては、私とまったく同じ性格ゆえに何も言うことはない。私のように好きなことを思いきりやって、豊かな人生を築いてほしい。望むのはただそれだけだ。

長男が家を出るとき、寂しさのあまり「またしばらく会えなくなるなぁ……」と言ってしまった。

「また虫を採りに行くときに寄るから」と長男。そのやさしさに心が温かくなった。

私は一人暮らしをしたことがないので家を出ていく息子たちの気持ちはよくわからないが、この家、息子たちにとって実家は、エンジンを休めてエネルギーを補給する港のような場所であればと思っている。