永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

旅へ。

昨夜から、徳島。

昨日は朝イチで京都駅構内の店にてメニュー撮影。その足で徳島へ向かった。

京都での撮影は、約3時間半ぶっ通しの立ちっぱなしだったので、さすがに疲れた。

せっかく徳島に来たんだから徳島ラーメンでも食べようと入った店のラーメンがまさかの普通の中華そば(笑)。

余計に疲れたわ(笑)。

ってことで、今日のブログはかなり手抜き。

まぁ、こんな日もあらぁな。許せ。

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70年、という歴史の重み。

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上の写真は、名古屋・伏見『島正』の「どて焼き」である。大根やこんにゃく、玉子を八丁味噌で煮込んだ名古屋めしだ。

shimasho.biz

「味噌おでん」という呼び名の方が一般的かもしれない。もともと鉄板の上に八丁味噌で「土手」を作って中に水を入れ、焦がしながら煮込むことからその名が付けられた。

地元以外の方は辛そうに見えるかもしれない。でも、心配ご無用。八丁味噌ならではのコクと具材から染み出した旨みが相まって、メチャクチャ旨いのだ。名古屋には「味噌おでん」を食べさせてくれる店が沢山あるが、私はここがナンバーワンだと思っている。

『島正』へ取材に行ったのは、私がフードライターになったばかりの頃。以来、幾度となくお世話になった。

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とくに『おとなの週末』では、何度も取材した。ときには表紙に使われたこともあった。↑上の写真は「どてオムライス」。トロトロになるまで煮込んだ牛すじとフワフワのオムレツをご飯の上にのせた、『島正』ならではの一品だ。

5月の初め頃、『島正』から便りがあった。何でも、今年で創業70周年を迎えるそうで、名古屋観光ホテルでパーティーを開催するという。私は取材先と持ちつ持たれつの関係でありたいので、レセプションなどには参加しないことに決めている。しかし、今回のパーティーは会費制だったので参加させていただくことにした。

パーティーには常連客を中心に約300人が集まった。講談やフラメンコ、サックス演奏、太鼓などさまざまな催しがあった。ホテルならではの美味しい中華料理も楽しめた。二代目の大将として店を切り盛りしてきた喜邑定彦さんの話が心に響いた。

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「私はお客さんに対して依怙贔屓をする。常連のお客さんだって、好き嫌いがある。“おもてなし”という言葉があるが、本当のおもてなしとは“うらおもてなし”だと思う」と、喜邑さん。横に立つのは、女将として喜邑さんを支えてきた妻の和子さん。

まったく、その通りだと思った。最近ではとかく「お金を払ってるんだから」と、客が上から目線になる風潮がある。だからといって、何をしても許されるということではない。忘れてはならないのは、店の大将も、従業員も感情を持った人間なのだ。当然、不条理なことがあれば「おとといきやがれ!」ってなことになる。当たり前だ。「店は客が育て、客も店が育てる」のが正しい。

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さらに喜邑さんは、

「先代から店を継ぐとき、もの作りをめざそうと。よいものを作れば必ず売れると思った」とも話した。たしかに、巷の味噌おでんや串かつとは完全に一線を画している。それは仕込みの丁寧さだ。例えば、大根。こんなにもエッジの立っている味噌おでんの大根はここ以外で見たことがない。

その信念を曲げず、今もなお店を続け、70周年を迎えたということは本当にすばらしい。おそらく、パーティーに参加したすべての人は、『島正』が歩んできた70年という歴史の重みを実感したに違いない。それを祝う場に招かれたことが私はとても光栄に思った。

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↑先代から「父親の私を超えた!」と太鼓判を押された三代目大将の喜邑竜治さん(左)。もう出会って15年以上になるが、忘れずにいてくださったのが嬉しかった。きっと、奥様や従業員の方と力を合わせて今以上に店を盛り上げてくださるに違いない。竜治さん、またお店に行きますね♪

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おまけ。今回のパーティーで司会を務めたフリーアナウンサーの平野裕加里さんと、私と同じ名古屋めしを取材しているフリーライターの大竹敏之さんと記念写真。

平野さんは、大昔に『ぴーかんテレビ』に出演させていただいて以来、こうしたイベントでよくお目にかかっている。また、大竹さんはフリーになったばかりの頃から尊敬している大先輩だ。私なんぞのような木っ端ライターは足元にも及ばない。

ところで……。大竹さんと私が“仲が悪い”というデマを流している奴は誰だ!? あらぬ誤解をされないようにパーティーにはペアルックで行った(嘘)。平野さん、大竹さん、ありがとうございました!これからも共に名古屋を盛り上げてまいりましょう♪

プロとは単なる職業ではない。生き方だ。

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写真専門学校で非常勤講師をしていたときのこと。2年生たちが卒業する頃だったと思う。一人の学生が私に駆け寄ってきてこう言った。

「先生、僕、いろいろ考えたんですけど、写真以外の仕事に就くことにしました。写真を仕事にすると、自分の作品を撮る暇がなくなると思うんですよ。仕事が休みの日に撮りためて、将来は写真展を開こうかと」と。

私は彼の作品を見たことがない。いや、あるかもしれない。でも、記憶にないということはその程度のものだったのだろう。

専門学校在学中、有り余るほど時間があるにもかかわらず、作品を撮らなかった者が就職してから撮れるはずがない。

「仕事が休みの日に撮る」というのは、カメラマンになるという夢をまだ諦めていないという彼なりの精一杯のポーズだったと思う。私は、

「そうか、頑張れ」とだけ答えた。

彼はもう30代。きっと、ごくフツーのサラリーマンになっていることだろう。

「オレさ、若い頃には夢があってなぁ」なんて後輩に話をしていると思うと萎える。そもそもスタートラインにさえ立っていない奴が何言ってんだ。あまりにもカッコ悪い。カッコ悪すぎる。

カメラマンにしろ、ライターにしろ、役者にしろ、スポーツ選手にしろ、料理人にしろ、プロとしてオノレの腕一本で食っていくということは、単なる職業の選択ではない。

生き方なのである。生き方そのものを変える覚悟が必要なのだ。

安定した仕事に就きながら、その片手間に作ったものなんぞ趣味の領域を出ない。

SNS上の無責任で軽薄な「友達」から「いいね!」をもらって悦に入ればよい。

人様の心を動かし、お金をいただくなんてことは到底ムリだろう。

何よりも、テキトーな言い訳をしてオノレの挫折を正当化することほど惨めったらしいことはない。

キビシイ言い方になるが、彼のその後の人生は1ミリも興味がない。

仕事の話。

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このブログはプライベートを晒しまくりなので(笑)、たまには仕事のことも書こう。

先日、飲食店を営むFacebookの友人から、あ、彼とはもともと取材を通じて知り合ったのだが、メニュー撮影の仕事をいただいた。

既存のメニューではなく、近々業態を変えてリニューアルするそうで、その際に提供するメニューを13点ほどと、イメージ写真を2、3点。

その中でも店の名物にしようとしているのが、この「海老かつ」だ。

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皆様は海老かつと聞いて、どんなイメージを抱くだろうか。私は海老なんてほんの少ししか入っておらず、海老風味のはんぺんを揚げたモノを想像していた。しかし、この海老かつは完全に一線を画していた。

「この海老かつのキャッチフレーズは、“とことん、海老”です。10尾分の海老と、椀物に入れる海老しんじょうを合わせて揚げています。海老の味や香り、食感を余すことなく堪能できます」と、ご主人。

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“とことん、海老”はダテじゃない。タルタルソースも添えられるが、オススメはこのソース。何だと思います?ケチャップ?デミグラス?はたまた味噌?ブー!なんと、海老の殻を炒めて作るアメリケーヌソースなのだ。

こんなの、旨いに決まってる(笑)。私が海老かつを食べて、海老フライよりも旨いと感じたのは後にも先にもこれだけ。本当に旨い。あまりの旨さに、絶対に取材しようと思った。

ってことで、まだリニューアルオープン前なので、店名や場所等はご容赦を。近々必ず取材に行くのでお楽しみに。

読者の皆様の中で飲食店を経営されている方や広告関係のお仕事をされている方、このようなメニュー撮影のお仕事、喜んでお引き受けします。

出張可能エリアは基本的に東海地方となりますが、経費さえいただければ全国、全世界どこにでも馳せ参じます(笑)。具体的な撮影内容や連絡先をコメントに入れていただければ折り返し連絡させていただきます。なお、コメントは承認制ですので、公開されることはありません。ご安心ください。

自分を偽るな。

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年をとるにつれてこれでも柔軟になったと思っているが、

昔も今も道理に合わないことをどうしても認めることができない。

多くの人から「お前はまだ青い」と何度言われたことか。

道理に合わないことを無理してやるのが大人だとしたら、

そんな大人にはなりたくないと思ったし、今もその考えは変わらない。

クソくらえ!とさえ思う。

とくに、モノを創る仕事において、

自分を偽って、その仕事をやり遂げたとしても、

はたしてカネをもらうこと以外に何を得るのだろうか。

そりゃカネはほしい。喉から手が出るほどほしい。

もっとカネを儲けて、もっとイイ家に住みたい。

もっとイイ車に乗りたい。もっとイイ服を着たい。

それもまた、偽らざる気持ち。

でも、カネほしさに自分を偽ることは、私にとって死に値する。

イイ家よりも、イイ車よりも、イイ服よりも、

私はもっとイイ仕事がしたい。

仕事を発注した人も、私が撮った写真や書いた文章を見た人も

皆が喜び、幸せになる仕事がしたい。

ご飯がススム君。

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午後から取材や撮影があると、現場の近くにある店でランチをするのがささやかな楽しみ。今日の現場は、中川区と中村区の境あたり。チャーラーでも食べようかと近くの店をネットで調べてみると、担々麺が有名な『錦城本店』がヒットした。

tabelog.com

そういえば、最近は担々麺を食べていない。今回は「チャーラーの旅。」をひと休みして店へ向かった。

注文したのは、「担々麺とご飯セット」(960円)。担々麺が運ばれてくる前に、

「麻婆豆腐をどうぞ」と店員さん。

ここはランチタイムに麻婆豆腐がセルフサービスで楽しめるのだ。おかわりは自由だが、麻(マー)と辣(ラー)がしっかりときいた四川風の味付けゆえに辛いものが好きな人はともかく、そんなにも量は食べられない。

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これがサービスの「麻婆豆腐」。麻婆豆腐のコーナーにはさらなる刺激を求める人のために中国山椒も置いてあった。私はデフォルトで十分だが、親のカタキとばかりにドバドバとかけていた女子がいた。あんた、スゴイよ。

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まず、運ばれてきたのがご飯。しかも、おひつで出される。好きなだけ食えということである。担々麺と麻婆豆腐。こんなの、ご飯がススム君である。ゆえにおひつご飯は私のような食いしん坊には嬉しすぎるサービスだ。

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これが名物の「担々麺」。最近では名古屋でも担々麺の専門店が数多くオープンしていて、辛さやシビレをウリにしている。それらに比べると、もの足りなさを感じる人がいるかもしれない。しかし、これが昔から変わっていない味。

ベースとなるスープは奥行きのある味。芝麻醤も香り高く、辣油や中国山椒とのバランスも秀逸。ふと、名古屋駅の近くにあった都ホテル内の四川料理店『四川』の担々麺を思い出した。

それもそのはず、『四川』は四川料理の父、陳健民の流れを汲む店であり、『錦城本店』の店主もまた陳健民の弟子なのである。

私が『四川』で担々麺を食べたのは遠い昔の話だが、あの味は今でもしっかりと覚えている。辛さと痺れが混じり合っていながらも上品さを感じる味わいに「大人」を感じていた。 ここ『錦城本店』の担々麺もホテルメイドの上品な味わいである。

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おひつご飯も麻婆豆腐もまだ余っている。と、なると、〆はやっぱり麻婆飯でしょ。辛いからご飯に合うんだな、これが!気がついたらおひつの中がほとんど空になっていた……。ご馳走様でした♪ 

名古屋における四川料理は、都ホテルの『四川』以外にも名鉄グランドホテルに『鳳凰』というレストランがあり、ここも陳健民の流れを汲む店として知られていた。『四川』も『鳳凰』も今はないが、いずれも多くの料理人を生み出した。彼らは今もその味を守り続けている。

名古屋で四川料理が定着したのは、担々麺のように濃厚でパンチのある味が名古屋人の味覚にマッチしたからだろう。また、担々麺の上にのせる肉味噌を甜麺醤の代わりに八丁味噌を使っていたという話も聞いたことがある。名古屋と四川料理は深~い繋がりがあるのだ。

承認欲求。

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ライター仲間のMちゃんと飲んだ。私がブログをはじめてから、会うたびに「スゴイ、スゴイ」とお褒めの言葉をいただく。このブログは、文章のヘタさを克服するためにはじめたもので、スゴくも何ともないのだが(笑)。でも、同業者に評価されるのは悪い気はしない。

「ブログ、Mちゃんもはじめなよぉ」なんて話をしていたら、先月19日、ついに彼女はブログをはじめた。

naemusa.hatenablog.com

あ、Mちゃんの名前がバレてしまった(笑)。まぁ、ここにリンクを貼ることの許可もいただいているし。まっ、いいか。読者の皆様、ブログ『ミユキさんはまだ○○を知らない』もよろしくお願いいたします。

さて、Mちゃん、いや、ミユキちゃんのブログの記事を読んで、さすが!と思った。まず、文章が、表現が美しい。そして、語彙の豊富さ。読んでいるうちにみゆきワールドに引き込まれて、感情移入してしまう。

私なんて食レポの記事ばっかり書いているから、文章がどうしても説明っぽくなってしまう。心の微妙な動きを文章で表現したいと思っても、私はその力を持ち合わせていないのだ。だからこそ、このブログを続ける意味があると思っている。

昨夜も本当にいろんな話をした。ほとんどが仕事とか、今後ライターとしてどう生きていくかという話。同い年ということもあって、同じようなことを考えているので話していて、とても刺激になる。

「ナガヤさんは、まだまだ野心みたいなもの、あるでしょ?」とミユキちゃん。

ほほう。そう見えるのか。そりゃ「メディアに爪痕を残したい」なんて書かれた年賀状をもらったら、そう思われても仕方があるまい。もちろん、今もその気持ちに変わりはない。ただ、考え方は大きく変わった。

「メディアに爪痕を残した!」という評価は、他人が下すことだと思っていた。でも、それは違うのではないかと思いはじめたのだ。

評価を下すのは、ほかでもない私自身だ。とは言っても、表面的な私ではない。常に私自身に「こうあるべきだ!」と訴えかける、内なる私だ。わかるかなぁ。

自分のことをいくら他人が高く評価してくださっても、いや、それはそれでありがたいことであるが、自分が納得しなければまったくの無意味。その逆もある。他人からどう思われようが、自分が納得していればそれでよいのだ。

FacebookやインスタグラムなどのSNSは、「承認欲求」のツールともいわれる。要するに「私という存在を認めてほしい」というものだ。両方ともやっている私にも承認欲求があるのは間違いない。

しかし、「私という存在」を認めるのは、他人ではなく、やはり自分自身ではないか。自分で自分のことを認めることができなければ、いくらFacebookやインスタに投稿しても心は満たされないだろう。

ときには、自分を赦してやればいい。自分を褒めてやればいい。

……かく言う私も、「こうあるべきだ!」と訴えかける、内なる私に負けまくっている。おそらく、勝率は3割にも満たないだろう。完敗だ。

でも、いつか、「お前、よくやったなぁ」と自分を褒めてやれる日が来ると信じている。

ミユキちゃん、昨夜はずっとこんなことを考えてたんだよ。その機会を与えてくれてありがとう。また、語り合おう。