永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

ご飯がススム君。

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午後から取材や撮影があると、現場の近くにある店でランチをするのがささやかな楽しみ。今日の現場は、中川区と中村区の境あたり。チャーラーでも食べようかと近くの店をネットで調べてみると、担々麺が有名な『錦城本店』がヒットした。

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そういえば、最近は担々麺を食べていない。今回は「チャーラーの旅。」をひと休みして店へ向かった。

注文したのは、「担々麺とご飯セット」(960円)。担々麺が運ばれてくる前に、

「麻婆豆腐をどうぞ」と店員さん。

ここはランチタイムに麻婆豆腐がセルフサービスで楽しめるのだ。おかわりは自由だが、麻(マー)と辣(ラー)がしっかりときいた四川風の味付けゆえに辛いものが好きな人はともかく、そんなにも量は食べられない。

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これがサービスの「麻婆豆腐」。麻婆豆腐のコーナーにはさらなる刺激を求める人のために中国山椒も置いてあった。私はデフォルトで十分だが、親のカタキとばかりにドバドバとかけていた女子がいた。あんた、スゴイよ。

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まず、運ばれてきたのがご飯。しかも、おひつで出される。好きなだけ食えということである。担々麺と麻婆豆腐。こんなの、ご飯がススム君である。ゆえにおひつご飯は私のような食いしん坊には嬉しすぎるサービスだ。

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これが名物の「担々麺」。最近では名古屋でも担々麺の専門店が数多くオープンしていて、辛さやシビレをウリにしている。それらに比べると、もの足りなさを感じる人がいるかもしれない。しかし、これが昔から変わっていない味。

ベースとなるスープは奥行きのある味。芝麻醤も香り高く、辣油や中国山椒とのバランスも秀逸。ふと、名古屋駅の近くにあった都ホテル内の四川料理店『四川』の担々麺を思い出した。

それもそのはず、『四川』は四川料理の父、陳健民の流れを汲む店であり、『錦城本店』の店主もまた陳健民の弟子なのである。

私が『四川』で担々麺を食べたのは遠い昔の話だが、あの味は今でもしっかりと覚えている。辛さと痺れが混じり合っていながらも上品さを感じる味わいに「大人」を感じていた。 ここ『錦城本店』の担々麺もホテルメイドの上品な味わいである。

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おひつご飯も麻婆豆腐もまだ余っている。と、なると、〆はやっぱり麻婆飯でしょ。辛いからご飯に合うんだな、これが!気がついたらおひつの中がほとんど空になっていた……。ご馳走様でした♪ 

名古屋における四川料理は、都ホテルの『四川』以外にも名鉄グランドホテルに『鳳凰』というレストランがあり、ここも陳健民の流れを汲む店として知られていた。『四川』も『鳳凰』も今はないが、いずれも多くの料理人を生み出した。彼らは今もその味を守り続けている。

名古屋で四川料理が定着したのは、担々麺のように濃厚でパンチのある味が名古屋人の味覚にマッチしたからだろう。また、担々麺の上にのせる肉味噌を甜麺醤の代わりに八丁味噌を使っていたという話も聞いたことがある。名古屋と四川料理は深~い繋がりがあるのだ。