永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

温もり。

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映画『きみはいい子』を見た。

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もう、数えきれないほど見ているが、いつも涙腺が緩む。物語は淡々と展開していく。しかし、DVやモンスターペアレント、学級崩壊、ネグレクト、発達障害など、見ている者に現代の日本が抱える問題が重くのしかかってくる。

それは映画に出てくる小学校に限らず、どの町の小学校も同じような問題を抱えていると思う。子供を取り巻くあらゆる問題の原因は大人が作っている。

この映画には、複数の主人公がいる。その一人が子供や親に振り回されて、教師という仕事にやりがいを失いかけている小学校の先生である。映画を見た誰もが彼に感情移入してしまう。

やりきれない気持ちでいっぱいになったとき、一筋の光明が差し込む。おっと、これ以上書いたらネタバレになるかな……。まっ、いいか。

親のDVで子供が亡くなると、どの児童相談所も行政もまるで判を押したように「やれることには限界がある」とコメントする。たしかにそれはそうかもしれない。しかし、映画では実に簡単で、人間らしい方法で悩める大人たちを救う。

それはギュッと抱きしめることだったり、背中をさすることだったり。つまりは「温もり」だ。直面した問題の解決には至らないかもしれない。でも、一歩前に進む勇気が芽生える。主人公である小学校の先生の姉の台詞がこの映画のすべてを語っている。

「私があの子に優しくすれば、あの子も他人に優しくしてくれんの。子供を可愛がれば、世界が平和になるわけ」と。本当にその通りだと思う。

「自己責任」や「人に迷惑をかけないこと」が美徳とされる今、どれだけ悩んだり苦しんだりしても、それを誰にも打ち明けることができない。人に迷惑をかけないことよりも、「お互い様」と迷惑を迷惑と思わない広い心を持った方がどれだけ幸せなことかわからない。

今の世の中に必要なのは、「温もり」ではないだろうか。私はカメラマンとして「温もり」のある写真で、ライターとして「温もり」のある文章で、世界ヲ明ルクしたい。