永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

チャーラーの旅。39

今日から島根県出雲市へ出張。トップの写真は、現場へ向かう途中で見かけて、思わず車を止めて撮影した。ちょうど雨が上がっていて、神話の世界へ引き込まれたような錯覚に陥った。

取材も無事に終わり、せっかく島根まで来たので、チャーラーの旅を楽しもうと思い、スマホで検索してみた。ところが、ソソられる店が見つからない。出雲のご当地ラーメンもあるかもしれないけど、名古屋人の私は知らないし。

ただ、検索した店の中から1つの共通点を見つけた。それは担々麺を出す店の人気が高いということ。担々麺はそれこそ名古屋にも多くの専門店があるほか、広島の汁なし担々麺も有名だ。

出雲も街の規模のわりには担々麺を出す店が多いのである。専門店とまではいかないものの、看板メニュー的な。その中から、『タンタン麺 萬福食堂』という店を選んだ。ここは半チャーハンが付くセットがあったのだ。チャーラーの旅としては少々苦しい気がするがご勘弁を(笑)。

これがメニュー。担々麺、いや、タンタン麺だけでも5種類もあることから、タンタン麺が店の名物だということがわかる。いちばん大きな写真が使われている「赤丸タンタン麺」の「半チャーハンセット」(960円)を注文した。

まず、半チャーハンが運ばれた。その瞬間、目を疑った。熱々の器にご飯と具材が入っていて、タレをかけて混ぜ合わせて作る、セルフスタイルのチャーハンだったのだ。

チャーハンの醍醐味は、プロによる「炒め」の技にあるのではないか。セルフチャーハンは、冷めにくいこと以外に何の長所もない。

いや、決して不味くはないので勘違いなさらないように。しかし、これはチャーハンではなく、石焼ビビンパではないのか。

混ぜ合わせたのがこちら。それっぽく出来上がっているものの、よく見るとタレがかかっている部分とかかっていない部分がある。中華鍋を振れば絶対にこんなことはない。セルフチャーハンが出てきた段階で『おとなの週末web』では紹介できないことが決定した。いやー、誠に残念である。

これが「赤丸タンタン麺」。花椒たっぷりのシビレ系の担々麺ではなく、ゴマの風味とラー油の辛味で味わうタイプ。おそらく、ベースとなっているのは、グランドメニューにあった「豚骨醤油ラーメン」だろう。いかにもラーメン店が作った担々麺の味である。

これはこれで悪くはない。っていうか、かなり旨い。担々麺が看板メニューであることは十分に伝わってきた。惜しいのは、やはりチャーハンだ。担々麺の肉味噌をのせたり、少量のスープをかけたりして食べたが、どうにもならなかった。

ラーメン店にとってチャーハンはサイドメニューの1つにすぎない。しかし、たかがチャーハン、されどチャーハンなのだ。