永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

チャーラーの旅。41

京都府八幡市での取材前にチャーラーの旅。

京都に数多くある背脂チャッチャ系のラーメンは、私のようなおっさんにとって少々辛い。しかし、ここ『麺処 森元 松井山手店』は行かねばならない、いや、行きたいと思った。

その理由は、後から述べるとして、ここのラーメンは、厳選した原料と手作りにこだわった伝統的製法を頑なに守る京都の老舗醤油処『松野醤油』を使っているのが特徴だ。

私が注文したのは、ラーメンに「半チャーハン」が付く「半チャーハン定食」(1078円)。ラーメンは追加料金で全種類から選べるが、初めての来店ゆえにベーシックな「特製醤油ラーメン」を選んだ。

店員さんは注文を取り終えると、

「よろしければ漬物・キムチバーをどうぞ」とカウンター席の横を指差した。実は、私がここへ行きたいと思ったのは、これだったのだ。

漬物・キムチバーには、モヤシのナムルと白菜キムチ、辛子高菜、キュウリの漬物が用意されていた。私はキュウリの漬物以外の3種類を小皿に盛り付けた。どれも私の大好物である。

まず、半チャーハンが運ばれた。具材はチャーシューとネギ、卵といたってシンプル。うっすらと茶色いのは、このチャーハンにも松野醤油が使われているからだろう。

私はチャーラーを食べる際、ラーメンから箸をつけるのだが、あまりにも美味しそうだったので我慢できず、レンゲに半分ほどをすくって食べてみた。うん、やはり醤油の香ばしさが際立っている。醤油一つでここまで美味しくなるのかと驚いた。否が応でも特製醤油ラーメンへの期待が高まる。

半チャーハンの余韻が残った状態で特製醤油ラーメンが運ばれた。チャーシューとネギ、メンマ、そして、丼一面に浮かんだ背脂で麺が見えない。箸で引っ張り上げると、麺に黒いツブツブが見えた。おそらく、全粒粉の麺を使っているのだろう。

ズルズルっと吸い込むと、醤油の香りがふわっと鼻から抜ける。口の中にはカドのない、まろやかな味わいと深みのあるコクが広がる。背脂チャッチャ系は化学調味料がキツイというイメージを抱いていたが、ここは醤油が全面に出ていて、とても美味しい。

麺を半分ほど食べたところで、モヤシのナムルは小皿ひと皿分、白菜キムチと辛子高菜はひと皿の半分をラーメンに投入した。

漬物やキムチは、チャーハンのお供ではなく、ラーメンの味変に使えると思ったのだ。

予想通り、モヤシは麺とともに食べるとシャキシャキとした食感が楽しめるし、白菜キムチと辛子高菜はチャーシューとベストマッチ。

あまりの旨さにチャーハンを掻き込んでしまった。一気に平らげたくなったが、ここはグッと我慢。うー、キツイ!

小皿に残っている白菜キムチと辛子高菜をチャーハンにも投入。レンゲでよくかき混ぜて、「白菜キムチ&辛子高菜チャーハン」を作った。

ただでさえ旨いチャーハンに白菜キムチの酸味と辛子高菜の辛味が加わって、メチャクチャ旨い!これ、レギュラーメニューに採用されてもおかしくはないレベル。

さらに、丼に残るスープを飲みつつ、このチャーハンを頬張ると、味の掛け算どころか2乗にも3乗にもなる。

今回は、白菜キムチや辛子高菜がチャーラーをより美味しくすることを学んだ。やはり、チャーラーはとてつもなく深い!