永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

チャーラーの旅。45

とくに急ぎの原稿がないため、今日はチャーラーの旅に出ることに。

出張で地方へ行く際、あらかじめ現場から近い店を選んでおいて、時間に余裕を持って出かけるようにしている。ところが、事故や工事などで道路が渋滞して時間ギリギリになることもある。

それでもチャーラーは諦めたくない(笑)。そんなときに立ち寄るのが、その土地ならではのラーメン店のローカルチェーンである。地元の人にとっては馴染みがあるものの、他府県からすれば特別な存在。それがローカルチェーンの魅力だろう。

今回足を運んだのは、石川や富山など北陸を中心に展開する『らーめん世界』。実は北陸出張の際には何度か行ったことがある。

店に到着したのは、お昼時のピークである12時半頃。土曜日ということもあり、店内は満員。外で待っている人もいた。順番待ち用紙に名前を書いて待つこと約10分、カウンター席に案内された。

注文したのは、もちろんチャーラーだが、ここはチャーハンの量が選べる。デフォルトの「らーめん(旨み醤油豚骨)」とハーフのチャーハン、いわゆる「半チャン」は、980円。1人前の「レギュラー」は、1080円。大盛りの「がっつり」は、1380円。

差額を支払えばラーメンの種類や麺の量も選べるようで、メニュー構成を客目線で考えているところに好感が持てた。

あ、私が頼んだのは、「らーめん(旨み醤油豚骨)」とフルサイズのチャーハンの「レギュラー」。

まずは「チャーハン」が運ばれた。具材はチャーシューとネギ、ニンジン、卵。チェーン店のわりにはかなり具だくさん。とくに卵の量がスゴイ。

実はこの店を選んだのもチャーハンが目当てだった。長年チャーラーの旅をしていて、個性的なラーメンを出しているにもかかわらず、なぜかチャーハンはシンプルという店が多いと思っていた。

ここのチャーハンも見た目はシンプルといえばシンプルだが、メニューに「2人に1人は食べてます!」とある。ラーメン店ながらもチャーハンも店の名物なのである。

ひと口食べてみると、塩辛さはまったく感じない。その代わりに刻みチャーシューの旨味がふわっと広がる。そして、ほのかな甘みが余韻に残る。うん、たしかによそにはない味だ。小さな子どもやお年寄りでも安心して食べられるだろう。

ただ、ほのかな甘みの正体はまったくわからない。家でチャーハンを作る際、最後の仕上げに砂糖をひとつまみ入れると味に深みが増すといわれるが、それとも違う。まぁ、美味しければイイんだけど。

周りの席を見渡すと、多くの客がチャーハンを頬張っていた。「2人に1人は食べている」という店の宣伝文句もあながち間違っていないようだ。

こちらが「らーめん(旨み醤油豚骨)」。店のHPによると、スープのベースは、豚のげんこつや豚頭、鶏のもみじと生姜、ねぎ、にんにくなど野菜。それらを9時間じっくりと煮込んでいるとのこと。

見るからに濃厚そうだが、スープを飲んでみると、実にまろやかな口当たり。こちらも塩辛くはなく、ほのかに甘い。身体にスッと入っていく。

麺は緩やかなちぢれがある中太麺。もっちりとした食感がスープとよく合う。具材はモヤシとネギ、そして、デフォルトであるにもかかわらずチャーシュー3枚。これは嬉しい。

チャーハンとラーメンのほのかな甘みから「やさしさ」を感じた。ラーメンマニアが喜ぶような尖った味ではないからこそ、幅広い年齢層の客に支持されるのだろう。チェーン店とはいえ、非常にレベルが高い。私の自宅近くにあったら週イチで通うだろう。