永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

珈琲だけの店。

世間一般では、元旦の朝食といえばお雑煮とおせち料理が食卓に並ぶだろう。わが家でそれは昼食。たとえお正月であっても、朝食はトーストと卵料理の「家モーニング」を食べる。

朝はコーヒーが飲みたいというのがいちばんの理由だ。しかも、自分でドリップしたコーヒー。毎朝のルーティンなので、変えられないというのもある。

年末に編集者の山本由樹さんと取材帰りに喫茶店へ立ち寄った。「珈琲だけの店」という看板にソソられて、思わず入ってしまったのだ。それが『珈琲だけの店 びぎん』である。

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看板の通り、メニューはコーヒーだけ。名古屋の喫茶店にありがちな柿ピーなどのおつまみも付かない(笑)。逆に本当のコーヒー好きだけが来るのだろう。

名古屋、とくに郊外には今でも数多くの喫茶店がある。名古屋人がコーヒー好きだからたくさんの店があるのではない。喫茶店が好きなのだ。『びぎん』は喫茶店ではなく、コーヒー専門店にカテゴライズされる。

私自身、コーヒーにはあまりこだわってはおらず、家で飲むのはスーパーで買ってきた「UCC ゴールドスペシャル スペシャルブレンド」。280グラムで5、600円くらい。

『びぎん』で注文したのは、店の顔ともいうべき「レギュラーブレンド」。いつもはミルクと少量の砂糖を入れるのだが、あえてストレートにした。

ひと口飲んで驚いた。苦味はしっかりとしているものの、それがとても心地よく、余韻がいつまでも続くのだ。苦味の奥にほのかな甘味も感じた。コーヒー好きの山本由樹さんも「最近飲んだ中では一番かも」と、大満足の様子。マスターに声を掛けて、今飲んでいる「レギュラーブレンド」のコーヒー豆も注文していた。

「ナガヤさんも家で飲む?」と聞かれたので「ハイ。毎朝、私がドリップしてます。ペーパードリップですが」と答えると、なんと私の分まで買ってくださった。奢られる54歳ってどうなのよ(笑)。

ちょうど年末「UCC ゴールドスペシャル スペシャルブレンド」がなくなってしまったので、早速『びぎん』の「レギュラーブレンド」に変えてみた。

やっぱり、旨い。ミルクと砂糖を入れても旨い。深煎りならではのコクがあり、やはり苦味が心地よい。まさに名古屋人好みのコーヒーだと思った。

毎朝、コーヒーを飲むのが楽しみになった。コワイのは、この豆がなくなったときのこと。今さら「UCC ゴールドスペシャル スペシャルブレンド」に戻ることができるのか否か(笑)。