永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

現場へ行こう。

もう、私自身が覚えていないほど前に取材した店のご主人が私のことをしっかりと覚えているということが多々ある。つい最近、久しぶりにお目にかかったある店のオーナーから

「ナガヤさんはライターの中でも特殊なんですよ。だから覚えてますよ」と言われた。

特殊ってアナタ(笑)。インパクトのある顔をしているかといえば、そうでもないし、パンイチで取材や撮影をしているわけでもない。「全裸監督」の村西とおるじゃないんだから(笑)。

覚えられる理由の一つは、やはり撮影もするからだろう。スマホでチャチャッと撮ることくらいは今どきのライターでもやっているが、照明機材を駆使してカメラマンと同レベルの撮影ができるライターは少ないと思う。というか、私はもともとカメラマンなんだけどね。

もう一つの理由も、カメラマンであることと関係している。過去に取材した店をまた雑誌やwebで新たに紹介することがよくある。その場合、店に承諾をもらって、前に撮影した写真を使い回すこともできるが、私はやらない。

新たに取材・撮影をするとなると、電話で取材のアポを取らねばならないし、現場へ足を運ばなければならないため、時間も経費もかかる。効率がよいとはいえない。

それでも私が現場へ行くのは、数年前よりも今の方が間違いなく撮影の技術が上がっているからである。撮影技術を上達させるための早道は、場数を踏むことにある。

撮影しながら照明の当て方や撮影アングル、構図などを少しずつ変えていき、その中でベターな方法を見出していくのだ。だから、昨日よりも今日、今日よりも明日の方が確実にレベルが上がっている。いや、そうでなければプロではない。

それにどうせ紙面に載せるのならば、少しでもレベルの高い写真を使いたいという私なりのこだわりもある。だから私は2回でも3回でも同じ店に取材・撮影へ行く。

そうなると否が応でも店のご主人に顔と名前を覚えられることとなる。同時に、信頼関係も生まれて、かなりタイトなスケジュールでも「ナガヤさんの頼みだから」と取材に協力してくださったり、それこそメニュー撮影を依頼してくださったりすることもある。

何度も言うが、やはり現場へ足を運ぶことは大切なことなのだ。