永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

ライターとしての矜恃。

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私は物事をシンプルに考える方だと思っている。複雑に考えたり、戦略を練ったりすることができない。アタマが悪いから(笑)。

ここのところ、ずっと『メイク&フォト』をいかに多くの人に認知してもらえるかをずっと考えていた。

『メイク&フォト』は、店舗こそないが、店をオープンさせたのと同じこと。きっと、お店を営んでらっしゃる方は同じことを考えていると思う。

ひと昔前、店のオープン前にブロガーを招待して、タダメシを食わせてブログに書いてもらう、という手法があった。私の知る限り、当時の名古屋にはそういった店はなかった。が、東京ではそれがPR戦略になっていると聞いて驚いた。

今ではブロガーではなくて、インスタグラマー、いわゆる「インフルエンサー」にお金を払って、または商品を無償もしくは割安で提供してPRしてもらうらしい。

お店や会社をやっていて、商品の認知度を高めるために「インフルエンサー」に協力してもらうのは、決して悪いことではない。それで商品の良さが広まって売り上げが伸びるのなら、むしろ、どんどんやればよい。

私も少し前までは、『メイク&フォト』を「インフルエンサー」にPRしてもらおうと考えていた。が、今、その気持ちは微塵もない。

なぜなら、私もプロのライターとして「伝える」仕事をしているからだ。もちろん、「伝えたいこと」の当事者ゆえに、ハンデもある。第三者が認めるから広がっていくのも十分に理解している。

しかし、ここで「インフルエンサー」に依頼してしまったら、私は「伝える」側の人間として敗北を認めることになる。

「多くの人々に認知してもらえるなら、そんなちっぽけなプライドなんて捨てちまえ!」とか、「『メイク&フォト』はカメラマンの仕事なんだから、気にすることはないのでは?」という意見もあるだろう。

そられも理解できる。でも、私にとって、そこは一歩も引けない、絶対に引いてはいけない部分だと思うのだ。カメラマンである私も、ライターである私も、テレビや講演会で喋る私も、私なのだ。

フリーとなった25年前、「自分のことを必要としている人は必ず、いる!」という信念を持ってやってきた。おかげで多くの優秀な編集者に出会った。彼らが私をカメラマンとして、ライターとして認知してくださったから、今がある。

また、自分が撮った写真や自分の思っていることや考えていることをブログやSNSで発信したのが縁となり、撮影のお仕事のオファーをくださったクライアント様もいる。彼らが私を認知してくださったから、今がある。

コンテンツが優良であればあるほど、いや、今の時代に必要なものならば、必ず広まっていく。そう確信している。

※写真は、愛知県小牧市『中華料理 ニーヨン』のチャーラー。