編集プロダクションで働いていたときに先輩から聞いた話。
皆が帰って誰もいない事務所で仕事をしていると、社長のデスクの上にあるシステム手帳が目に入った。
きっと、忘れていったのだろうと気に止めなかったが、社長はその手帳にいつも何かをメモしていた。いったい何が書いてあるんだろうと興味が湧いてきた。
先輩はイケナイと思いつつも、手帳を開いてみた。そこには
「オレは○○(奥さんの名前)と○○(子供の名前)のために頑張る!」と書かれてあったという。
「萎えた」と、先輩は語った。私もドン引きした。しかし、結婚して子供が生まれて、家庭を持った今、社長の気持ちは解らなくもない。
「お前は何のために仕事をしているのか?」と、自問自答してみる。
お金のためか?それも間違いではない。でも、それがすべてではない。お金はあるに越したことはないけど、稼ぐこと自体はあまり興味がない。
編プロの社長がそうだったように、家族のためか?生活のためか?もちろん、それもあるが、食うのに困らなければよい。贅沢な暮らしにも憧れていない。
ラーメン屋で「全部のせ」を躊躇なく注文できるくらいの贅沢でよい(笑)。
「お前は何のために仕事をしているのか?」と、再び自問自答してみる。
パッと頭に浮かんだことをそのまま書く。
明日も、明後日も仕事をするためである。
誰かと会って話を聞いたり、人やモノにカメラを向けたり、聞いた話を記事にまとめたりする仕事が大好きなのだ。
明日、何もすることがない、という状況はとても耐えられない。
仕事をしているときが何よりも楽しいのである。
仕事が私に自由を与えてくれているのである。
明日もやるべき仕事があることに感謝しよう。