永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

名古屋の食文化と名古屋めし。

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汁物や煮物、麺料理などに使うだしや醤油、味噌、みりんなどの調味料は地域によって異なる。当たり前のように思えるけど、すばらしい。それが文化というものだ。

名古屋でだしといえば、ムロアジやサバ節、宗田鰹がベース。調味料はというと、たまり醤油や白醤油、豆味噌。これは誰かが考えたものではなく、はるか遠い昔から受け継がれてきたものである。

現在、三河湾ではムロアジは獲れない。が、今のように物流が機能していなかった時代には身近にあるものを使わざるを得なかったわけで、昔はムロアジが獲れていたと推測できる。さらに、愛知県は醸造が盛んだったため、たまり醤油や白醤油、豆味噌を用いることも必然だったのだ。

また、「名古屋人は濃い味を好む」という説?もある。実際、揚げ物に使うウスターソースもかなり濃い。わが家ではコーミソースの「こいくち」をずっと愛用している。コショウたっぷりの手羽先唐揚げやあんかけスパが支持されているのも濃い味を好むからかもしれない。

おっと、少し脱線してしまった。ここ何年かでロードサイドやショッピングモール内に『丸亀製麺』など讃岐うどんのチェーンが数多く出店している。何といっても安いので日常的に利用されている方も多いだろう。

しかし、その味に慣れてくると、地元のだしの味がわからなくなってしまう。とくに若い世代は、名古屋のだしについて理解しているのだろうか。

なごやめし普及促進協議会が制作したHP「なごやめし」には、豆味噌の記述はあるものの、だしやつゆについては触れていない。もちろん、字数の制限もあるだろうが、和食のベースとなるのはだしである。何度も言うが、その違いこそが文化なのである。

そもそも、「名古屋めし」というコトバは、2001年に東京に進出した『ゼットン』の稲本社長が味噌串かつや石焼ひつまぶしを売らんがためにつくったコトバであって、商業主義の最たるものである。

それが悪いわけではないが、なごやめし普及促進協議会は、愛知県や名古屋市、名古屋商工会議所などが国内外に名古屋めしをPRするために設立した任意団体だ。是非、名古屋めしを文化として伝えていただきたいと願うばかりである。