永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

催眠商法。2

昨日の続きね。まだ読んでいない方は↓コチラへ。

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広告制作会社で働いていた頃、クライアントである健康食品や健康器具の販売会社へ打ち合わせへ行ったとき、ちょうど「イベント」を開催していて、見学させてもらった話である。

MCを務めるジャパネットたかだと、合いの手を入れるwith Bのリズムが心地よくなった頃、イベントは健康トークから次のプログラムへと進んだ。

「今日はねっ、皆さんのために健康に良いお値打ちな商品を沢山用意いたしましたーっ!」と、ジャパネット。

「用意いたしましたーっ」と、すかさずwith Bがリフレイン。

「まずはねっ、安心安全な生みたての卵!1パック100円!これ、欲しい人ーっ!」と、ジャパネットが手に持った卵を高く掲げる。

「欲しい人は手を挙げて!」とwith Bも手を挙げながら叫ぶ。すると、会場に集まったお年寄りたちは興奮しながら手を挙げている。

卵1パック100円にはじまり、味噌や醤油、塩などの調味料や自然食品になり、値段もだんだんと上がっていく。最終的に「健康に良いお値打ちな商品」は何十万もする浄水器や羽毛布団になった。

さすがに卵や調味料のように参加者の手は挙がらない。しかし、ジャパネットはそれも想定内のようで、

「厳しい検査をクリアした商品ですから、当然高額になります。でも、分割払いであれば、月に10000円!1日に換算すれば、たったの330円。コーヒー一杯分です!1日わずか330円で健康になれば安いもんですよっ!」とまくし立てる。with Bも

「安いですねーっ!欲しい人は手を挙げてくださーい!」と煽りまくる。

一人のおばあちゃんが手を挙げた。すると、with Bたちは彼女をハグして一緒に喜んでいる。その様子を見た他の参加者の手も挙がりはじめる。

ウソだろと思った。でも、本当の話。購入後に気が変わって返金や返品してもらおうと来店しても、すでに引き払って誰もいない。イベント会場の窓ガラスにプリンタで出力した紙を看板代わりにしているのはそのためだ。

自分が働いている会社が印刷物の制作とはいえ、悪徳商法の片棒を担いでいると思うとやりきれない気持ちだった。制作にかかる費用も人を騙して取ったお金から支払われるのだから。

「1日たったの◯◯◯円!」というのは、悪徳商法の常套句。ココ山岡や絵画商法も然り。そもそも、本当に欲しい物であれば、人、それも赤の他人に勧められるよりも自分で探すだろう。

話は変わるが、今、統一教会の霊感商法で家族がバラバラになっていることもメディアで報じられている。二世信者の会見を見るとやりきれない気持ちになる。本当に悩んでいる人に「ご先祖が苦しんでいる」とか言われたら信じてしまうと思う。そこにつけ込むのは許せないし、それはもはや宗教ではない。