永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

質をとるか、量をとるか。

広告写真の仕事は、取材がきっかけだった。取材時に撮影した写真を気に入ってくださり、店のメニューやHPに使う写真を撮ってほしいと頼まれたのだ。

店は撮影してほしい商品を用意するだけで、撮り方など基本的にはすべて私にお任せとなる。とはいえ、写真の用途によって撮り方はさまざまなので、確認しながら撮影する。まぁ、当たり前の話だ。

一方、取材とは関係なく、人づてで紹介されて広告写真を撮ることもなくはない。クライアントも私も相手のことをよくわからないまま撮影に臨むこともある。もちろん、事前に打ち合わせはするが、何をどのように撮るのかを決めるくらい。

ところが、撮影当日になって、当初撮る予定にないものを撮らされたり、撮影の点数が異常に多かったりすることもある。にもかかわらず、せっかく撮影したその写真がwebや印刷物に使われなかったこともあった。

使われるかどうかわからない写真に時間を割くため、使う写真を撮影する時間が切迫して、結果的にクオリティは落ちてしまう。そもそも限られた撮影時間の中で質、量ともに充実させるのは不可能なのだ。

もう1日、撮影日を延長することも不可能だとすると、質を捨てて量を優先させるしかない。いくらビジネスだと割り切っても、webや印刷物にカタチとして残るので心の中のモヤモヤは消すことができない。どうすりゃいいんだろ。