永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

限定メニューは本当に旨いのか。

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これも年をとった証拠なのだろうか。お菓子やファストフードの季節限定メニューを食べなくなった。と、いうか、興味をソソられなくなったのだ。

例えば、ポテトチップス。今やさまざまな味が発売されているが、もっぱら買うのは昔からあるコンソメと塩。牛丼チェーンもひと昔前と違って季節メニューを用意するようになった。でも、注文しない。フードライターとしてはいかがなものかと思うが、どうしても、味の安定を求めてしまう。

先日、東京から来た編集さんとライターさんを『スガキヤ』へ案内する機会があった。地元の人からすれば、「なんでわざわざ『スガキヤ』に!?」とツッコミたくなるだろう。うん、その気持ちもわかる。

名古屋に来たら、名古屋めしという図式はもう古くなっているのである。名古屋めしの知名度が全国区になって早いもので15年が経つ。仕事で名古屋へ来ることが多い人なら、すでに名古屋めしを食べているのである。

にもかかわらず、愛知県も名古屋市も未だに名古屋めしを観光資源としてガンガン推している。しかも、『スガキヤ』は名古屋めしではないという。彼らが本当にやるべきことは、「味噌かつは食べたことがあるから」という県外の人たちをいかにリピーターにするかを考えることだ。

話が逸れた。私が彼らを『スガキヤ』へ連れて行ったのは、2人とも『スガキヤ』へ行ったことがないと聞いたからにほかならない。「ひつまぶし」や「味噌かつ」、「味噌煮込みうどん」は、いつの間にか名古屋人にとって「よそいき」の料理になってしまった。しかし、『スガキヤ』や『長命うどん』などローカルな名古屋めしチェーンは観光資源とやらになっておらず、今でも名古屋の庶民に愛されているのだ。

『スガキヤ』で編集さんは私に勧められるがままに「特製ラーメン」を注文した。

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『スガキヤ』をご存じない読者様もいらっしゃるかもしれないので、写真も載せておく。「特製」というだけに、チャーシュー5枚と半熟玉子、メンマ、ネギがのる。

ちなみにデフォルトの「ラーメン」は、チャーシュー1枚とメンマ、ネギ。「特製」がいかにゴージャスなのかがわかるだろう。しかも、値段は450円と激安。

一方、ライターさんと私は期間限定の「豚骨醤油ラーメン」をオーダー。普段、食べるのは定番ばかりなので、たまには冒険しようと思ったからだ。値段は「特製」と同じ450円。

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これが「豚骨醤油ラーメン」(写真は大盛)。このスープの色!ビジュアルもスガキヤラーメンとはまったく違う。豚バラのロングチャーシューも特徴だ。

まずは、ラーメンフォークでスープをひと口。むむっ、味が濃い!とくに魚介の風味が強い。あっさりとした和風とんこつのスガキヤラーメンとは対照的だ。

『スガキヤ』のHPによると、

「豚骨醤油ラーメン」は伝統の和風豚骨に焦がし醤油のかえしを組み合わせたスープと、丼からはみ出すほどの特製豚バラロングチャーシューが特徴です。

と、ある。

これは、デフォルトのラーメンのスープと焦がし醤油のかえしを合わせているということだろうか。だとしたら、味が濃くなるのは当たり前だ。

正直に言うと、私には合わなかった。「特製ラーメン」を美味しそうに食べる編集さんが羨ましかった(笑)。

この日は暑かったこともあり、食後に『スガキヤ』定番の「クリームぜんざい」を注文した。ここでも私とライターさんは、期間限定の「抹茶クリームぜんざい」をセレクトした。

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抹茶と巨椋というテッパンの組み合わせゆえに旨いことは旨い。しかし、デフォルトの「クリームぜんざい」に昔から慣れ親しんでいるせいか、イマイチに感じてしまうのだ。とくに、食べ終わる頃の、溶けたソフトクリームとぜんざいが混ざり合った部分は絶対にデフォルトの方が旨い。

どこもかしこも期間限定メニューや季節限定メニューを出すのは、儲かるからにほかならない。それを否定するつもりもない。しかし、それらは流れていくもの。長いこと人々に愛されている定番メニューには敵わないのである。