永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

価格。

f:id:nagoya-meshi:20200322001503j:plain

Googleの検索窓に「カメラマン」と打って、半角スペースを空けると、「副業」という文字が出る。って、オレは副業でやれるようなことを生業としているのか!? まぁ、Googleの検索窓に出るということは、実際にカメラマンを副業にしようと考えている人が多いってことだろう。また、プロのカメラマンに安く撮影してもらいたいという人もいるから、カメラマンが副業として成立するのだ。

以前、↓ブログにこんな記事を書いた。

nagoya-meshi.hateblo.jp

今でも、1コイン撮影会の告知をたびたび目にする。正直、よくやるなと思う。入り口を広くして、その中から顧客を獲得するのが狙いだろうが、価格で判断する客がはたして上客となり、末永くお付き合いできる関係になるのだろうか。甚だ疑問である。

かなり以前に、子育て中の若いママさんを対象にしたイベント、いわゆる“ママフェス”で、親子写真を撮影する仕事を請けたことがあった。親子写真の撮影会は、ある雑誌の販促活動の一環。だから、ギャラはイベントに訪れた客からではなく、出版社から日当をいただいた。客はタダで撮影してもらえるというもの。

タダゆえに、食事をする時間も取れないほど、ひっきりなしに客が訪れた。しかし、もう2度とやりたくないと思った。タダゆえに、マナーが悪い客も多かったのだ。

例えば、照明機材が並ぶスペースを暴れ回る子供に何も注意しなかったり、撮影の背景に使う紙を引っ張ってビリビリに破ったり、靴のまま上がってヒールで穴を開けたりと、それはもうメチャクチャだったのだ。しかも、謝罪のひと言もない。思わず、

「おい!」と怒鳴ってしまったが、スタッフに制止された。彼らはタダでもお客様は神様、という考えのようだった。

フツーに考えると、高いお金を払う方が上から目線になってもおかしくはない。なのに、タダだから、安いからと価格で判断して来た客の方がなぜマナーが悪いのか。それは商品(私の場合は撮影または文章)が価格に見合っていることをきちんと理解しているからだろう。

正直、私もクライアントの予算に合わせて、仕事を安く請けていたこともあった。しかし、今は値引きには一切応じていない。25年間もかけて培ってきたものを、昨日今日仕事をはじめたばかりの同業者と同じというわけにはいかない。私が扱う商品、写真や文章は私が大変な思いをして生んだ子供のようなものである。そんな大切なものを1コインで売ることはできない。

※写真は名古屋・伏見にあるタイ料理店『マイペンライ』のMIXカオマンガイ。ここはオススメです♪