永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

私が為すべきこと。

今週土曜日、昔から……えーっと、たぶん、20代のときからお世話になっている編集者と会うことになっている。何でも、地方で活動しているライターを取材しているらしい。っていうか、私で大丈夫なのだろうか。

20代から40代後半までは、自分で言うのもアレだが、ギラギラしていた。メジャーな媒体で仕事をすることをヨシとしていた。媒体がメジャーであれば、それだけ影響力を持っているわけで、オノレの名前を知らしめることができると思っていた。

「名古屋に面白いヤツがいる」

私の存在をそう認識してもらいたかった。要するに、自己顕示欲を満たすことを目的としていたのだ。そのためには名古屋の食について、誰よりも詳しくなければならない。だから、アンテナを張り巡らせて新しくオープンした店や流行っている店の情報を収集していた。

美味しいものや店を紹介することがフードライターの役割である。それは間違いない。しかし、SNSのインフルエンサーやアンバサダーとどう違うのかという疑問にぶつかる。

私の考えが正解ではないかもしれない。それを承知の上で述べさせていただくと、ライターとインフルエンサーとでは立ち位置が異なる。インフルエンサーは紹介するものや店側である。店なり企業なりから報酬を得ているわけで、その立ち位置は絶対にブレてはならない。

一方、媒体からライターは記事を読む読者側でなければならない。読者の知りたいことや聞きたいことを伝えるために、ライターは物事を分析する力と現場で聞いた話や収集した情報を言語化する力を持っている。同じ「伝える」ことを生業としていても、実態はまったく違うのだ。

そう考えたとき、はたして自分が為すべきことは、新しくオープンした店や流行っている店を伝えることだろうか。そんな疑問を自分自身に投げかけた。答えは、否だった。そんなことは私以外の誰かがやればよいし、もう実際にやっている。

では、私が為すべきことは何だろうと自問自答を繰り返した。同時期に「おいしい」ってなんだろう?という疑問もわき起こってきた。それが50歳になる手前、ちょうどこのブログを書き始めてからである。

正直、この2つの問いかけにまだ答えることができない。そんなことではいけないとわかっていても、答えが出ないから仕方がない。ただ、ハッキリしているのは、前にこのブログでも書いた通り、取材対象の熱量を熱量のある文章と熱量のある写真で伝えたいということ。読んだ人が元気になる。そんな記事を書きたいし、写真を撮りたい。

取材まで、あと4日。それまでに少しはまとめておかなきゃ。