永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

取材ライターに必要なもの。

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前から行きたいと思っていた店でお目当ての料理を食べる。あまりの美味しさに感動すら覚える。そして、いつかまた店に来ようと思う。フツーはここまで。

どうやったらその味が生まれるのか?食材や調味料はどんなものを使っているのか?どんな調理法を用いているのか?この味を完成させるのにどんな苦労があったのか?ひいては、この料理を作った人はどんな人生を歩んできたのか?

頭が?だらけになる。それが“フードライター脳”というのだろうか。その知的好奇心を満たすべく、料理を作った人に直接話を聞いてみたいと思う。そして、料理の美味しさと料理人の魅力を読者と共感する。それが私の仕事である。

料理についての専門的な知識はあるに越したことはないが、なくても問題はない。なぜなら、媒体が専門誌でない限り、記事の読者は料理の専門家ではないからだ。

求められるのは、料理の知識よりも、コミュ力、かな。いや、コミュ力が低くても、取材相手から本音を引き出すことができれば問題ない。

料理人の多くは、一部例外もあるが(笑)、口下手である。何しろ、いつも物を言わぬ食材と向き合っているのだから(笑)。それは冗談だが、頭でアレコレ考えて作っているのではなく、身体に染み込んだ技術ゆえに、それを言葉で伝えるには困難なのである。

具体的な調理プロセスを聞き、その中から核となる部分について「なぜ、その調理法を用いると、より美味しくなるのか」を突っ込んで聞いていく。また、食材にこだわっているのであれば、スーパーなど一般に出回っているものと比べてどう違うのか。さらには、その食材を使用することで、料理がどのように仕上がるのか。聞くことは本当に沢山ある。

そうは言っても、料理人も一人の人間である。取材する側がビジネスライクならば、対応もそのようになる。その料理に、その料理人にどれだけ興味を持つことができるか。その好奇心こそが取材力を高めていくことになる。料理に限らず、取材ライターに必要なものは好奇心。それに尽きるだろう。

来週、私が客として訪れて、本当に美味しいと思った店を取材する。どんな話が聞けるのか、今から楽しみにしている。