永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

編集者とライター、カメラマンの関係。

協調性がない──。小学生の頃から通知表にそう書かれていた。

大人となり、カメラマンになっても、自分の思うがままに撮りたいという気持ちが強く、黒いものでもクライアントが白といえば白になってしまう広告の世界に見切りをつけた。やはり、協調性がないのだ。

ライターとして文章を書くようになっても、自分の思うがままに書きたいと思っている。だから、広告の仕事はほとんどしていない。たまにオファーをいただくこともあるが、私の好きなようにやらせていただいている。

メディアでの仕事は、企画も提案するため自分の思うがままに撮れるし、書ける。誤解してほしくはないのだが、人の意見に耳を貸さず、好き勝手にやっているわけではない。広告もメディアも担当者の意見とすり合わせて、そこに私のセンスと技術を加えていくのだ。仕事に対してストレスを微塵も感じていないのはそのためだろう。

昔、ある雑誌の編集者と食事をしたときに、

「◯◯さんは、私に『仕事をくれてやっている』と思ってますか」と尋ねたことがあった。実際、編集担当から仕事を振られることもある。と、なると、編集担当は私にとってクライアントという考え方もできる。しかし、その編集者の答えは、

「何で?一緒に仕事をする仲間じゃないですか」というものだった。

この編集者とライター、カメラマンの関係が私はたまらなく好きなのだ。おそらく、テレビ局のプロデューサーやディレクターと演者であるタレントの関係も同じだと思う。

編集者とライター、カメラマンのどちらが偉いとか、どちらがキャスティングボートを握るかとかそういう話ではない。よいものを作るにあたって、立場は違えど対等であるべきだと思うのだ。たとえそれがクライアントであっても。

「仕事をくれてやっている」という力でねじ伏せて、言うことを聞かせる相手とは絶対に仕事をしたくはない。よいものができるわけがない。

 

※写真は、先日訪れた出雲大社の掲揚台に掲げられた日章旗。今日は天皇誕生日なのでトップ画像に選ばせていただいた。