永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

謎の肩書き。

SNSを覗くと、プロフィール欄にキュレーターやアンバサダー、ファイナリストなど、さまざまな肩書きをよく見かける。また、webライターの中にもそういう人はいる。

ウィキペディアによると、キュレーターとは

キュレーターとは、博物館、図書館、公文書館のような資料蓄積型文化施設において、施設の収集する資料に関する鑑定や研究を行い、学術的専門知識をもって業務の管理監督を行う専門管理職。美術館・博物館・動物園などの展覧会の企画・管理者。

とのこと。同じような役割を果たしている「学芸員」との違いを調べてみると、学芸員は美術館などに所属する人で、キュレーターはフリーランスで活動するらしい。つまり、ライターやカメラマンと同様に、そう名乗った時点で誰もがなれる便利な肩書きなのである。

一方、アンバサダーとは

公式、非公式問わずにブランド、商品、イベントなどを無償で宣伝広告する人。

という意味らしい。「公式、非公式問わずに」と「無償で」というのがミソで、非公式の場合はキュレーターと同様に勝手に名乗ることができるのだ。ギャラも発生しないし、これもまた便利な肩書きだ。

ファイナリストというのは、何かの大会やコンテストに出場して最終選考まで残った人のことをそう呼ぶが、参加費を払って出場さえすればファイナリストになれる大会もある。まぁ、カネでファイナリストという肩書きを買ったということになる。

だからSNSには謎の肩書きに溢れているのだ。しかし、仮に私が編集者やクライアントだったとしたら、絶対に仕事のオファーは出さない。なぜなら、肩書きに関係なく、そいつが面白いかどうかが仕事になるかどうかを決めるからだ。

キュレーターと名乗るのであれば、独自の切り口で分析しているのか。アンバサダーと名乗るのであれば、独自の切り口でブランドや商品の魅力を伝えることができるのか。できる人に仕事のオファーがくるのだろう。もっともそういう人はよくわからない肩書きなんぞ名乗っていないだろうが。

一般人からすれば、「よくわからないけど、何となくスゴイ」と思われるだろう。が、見る人が見ればすぐにそのメッキは剥がれるのだ。

そもそも、なぜ人は何者かになりたがるのだろう。日本の人口は約1億2000万人だが、誰一人として同じ人はいない。それぞれ異なる1億2000万通りの人生があり、誰もが唯一無二の存在である。

自分のままでよいのだ。そこに気がついたから、私は「名古屋めしライター」という肩書きを捨てた。そして、ブログのタイトルも「永谷正樹、という仕事。」に変えたのである。