永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

スキャンダル。

先月の話。ある町で某ミシュラン1つ星シェフが基本レシピを考案した新たなご当地メニューを取材した。基本レシピとは、その名の通り、ベース部分のみで最終的には自由にアレンジできるというもの。

シェフの知名度もあるし、非常に拡張性の高いメニューのため、取材したときは店の名物になりつつあった。

しかし、そこに至るまでには、シェフと町の飲食店の意見が合わないこともあったと聞く。ご当地メニューを調理することによって普段のオペレーションが狂ってしまったら、客にも迷惑がかかるし、売り上げにも影響するためだ。

私も町おこしに携わっていたので、店の言い分はよくわかるし、実際にそういう意見もあった。が、物は考えようで、ご当地メニューが店の名物となり、売り上げの大半を占めるようになれば、オペレーションそのものも変わってくる。

シェフは店の人たちに「どれだけ本気になれるか。熱意がないと成功しません」と、檄を飛ばした。これもシェフの言う通りで、食での町おこしにおいて参加する店が「お客さん」であるうちは成功しない。

町おこしの「当事者」でなければならないのだ。シェフが言いたかったのはそういうことだと思う。私はこの話にとても感銘を受けて、ノリノリで原稿を書くことができた。

町の担当者に原稿をチェックしてもらっている間に「事件」が起こった。シェフと某有名女優の不倫スキャンダルである。まさか私がこんなことに巻き込まれるとは。

取材をした町の担当者からも連絡が入り、現在対応を検討しているという。個人的にはシェフがプライベートで何をやらかそうが知ったことではないし、記事もまったく関係ないとは思っているが、記事が公開されて逆に悪いイメージを抱かれては本末転倒である。

ちなみに記事の完成までに用下時間は取材に丸1日、原稿執筆に丸1日。計2日間の時間を返してくれ!

最終的には編集部に判断してもらおうと思っているが、はたしてどうなることやら。