永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

28年。

そういえば、今月の25日でフリーとなって28年が経った。

月日が経つのはメチャクチャ早い。本当にあっという間だけど、こんな写真を撮ったとか、こんな記事を書いたというよりも、今の自分が何をしているのかが大切だと思っている。

28年前、とりあえず写真と文章で「食える」ようになりたいと思っていた。

人は欲深い生きものである。「食える」ようになったら、今度は「好きなこと」で「食える」ようになりたいと考えた。

あ、それが少し前から今現在の自分。「好きなこと」を優先、というよりも「好きなこと」しかしないと決めたら、売り上げは減り、女房がフルタイムで働くようになった。

女房の給料と私の役員報酬を合わせても、毎月の生活費と支払いでトントン。貯金なんて夢また夢。

つまり、「好きなこと」でギリギリ「食える」状態。ギリギリなので、クライアントとの取引が1つ減った途端に食えないようになるという綱渡りの人生。

「なりふり構わず働いて、家族を養うのが世帯主の役目だろ!」という意見もあるだろう。それはごもっとも。おっしゃる通り。正論。もう、グウの音も出ない。

しかし、それでは何のためにフリーになったのかわかりゃしない。「好きなこと」をとことんやった結果、貧乏でも仕方がない。

私に商才がないというだけのことであり、それが幸せか不幸かはまた別の話であろう。

食っていくためだけに写真を撮りたくはないし、文章を書くたくない。

29年目を迎えた今、そんなことを考えている。