永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

使い捨てライター。

X(旧twitter)のタイムラインにライターの募集案件が流れてくることがある。そのほとんどが文字単価、つまり、1文字いくらという報酬なのでスルーすることがほとんどだが、今日見たのは「グルメライター募集!」とあったので思わず熟読してしまった。

【グルメライター募集】

メディア拡大に向けたグルメライターを募集しています。

「必須条件」
・WordPressを使ったライティング経験
・素早いレスポンスが可能

「優遇条件」
・SEOライティングの知識がある
・自発的に飲食店へ足を運んでいる

お問い合わせはDMにてご連絡下さい🙏
#ライター募集

まぁ、今どきはWordPressは必須だし、SEOライティングの知識があれば優遇されるのもよくわかる。しかし、ここには報酬については何も書かれていない。探してみたら、添付されていた写真に書いてあった。

1記事1,000円(税込)
月2〜3本の執筆(1500〜2000文字程度)

と。1500文字であれば、文字単価1.5円。2000文字なら2円。文字単価1円を切る案件もあるから、きっとこの条件でもやりたいと思う人もいるだろう。

「優遇条件」に書かれた「自発的に飲食店へ足を運んでいる」というのもポイントで、これはおそらく、プライベートで行った店で食べたものをレポートしても構わないということだ。

書き手にとってはラクかもしれないが、これが落とし穴であることに気がついてほしい。メディアを運営する側としては交通費や飲食代などの経費を極力抑えたいのが本音であり、自発的に飲食店へ足を運んでいれば、それらをカットすることができる。こんなにオイシイ話はないのだ。

考えてみても、今どき1000円で食べられるものなんてたかが知れているし、電車や地下鉄を使って往復するだけでも数百円はかかる。それら経費も報酬に含まれるとしたら、いったい何をやっているのかわからない。

ただ、報酬よりも実績を求めている人がいるのも事実。そういう人がこういった募集案件に手を挙げるのだろう。

しかし、はたしてこれがライターとしての実績となって、ステップアップしていくのだろうか。甚だ疑問である。まぁ、使い捨てにされるのがオチだと思う。まさにそれでは「使い捨てライター」ではないか。

いや、実績というよりも「グルメライター」という肩書きを手に入れたいのかもしれないな。現役のグルメライターである私から言わせてもらうと、肩書きなんてモノは実績によってつくられるのではない。

SNSやブログで自ら宣言してしまえばよいのだ。グルメライターになるには資格も経験も要らないのだから。そして、自分なりのグルメレポートをブログやSNSで発信すればよい。それが面白ければチャンスは訪れるだろう。

実際、私がこのブログで連載している「チャーラーの旅。」を見た週刊SPA!の編集者からオファーをいただいたし、現在は『おとなの週末web』に連載で書かせてもらっている。早いもので、連載は29回となった。

nagoya-meshi.hateblo.jp

otonano-shumatsu.com

ライター志望の皆様、決して「使い捨てライター」になるな!