永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

rawデータ。

今日は少しマニアックな話を。

画像データのファイル形式はjpgが一般的だろう。私を含めて写真を生業としている人はrawデータで撮影して、jpgやtifなどクライアントが求めるファイル形式に書き出して納品する。それが仕事の流れである。

rawというのは、レンズを通してセンサーに入ってくる映像データのすべてを取り込んだファイルである。ゆえに容量が大きい。例えば、2400万画素のカメラであれば、rawは1枚あたり24MBになる。200枚撮影したら、4.8GB。そりゃあっという間にHDDがいっぱいになるのも無理はない。

いやいや、こんな話をしたかったのではない。

なぜ、カメラマンはrawデータで撮影するのか。それは、rawをLightroomやPhotoshopでいじり倒しても劣化しないからである。

一方、jpgは人間の目では認識できない色が間引いてあるため、PCで明るさや色を調整すればするほど、どんどん劣化していく。だから、rawで撮影するのである。

つまり、rawは原版である。rawから書き出したjpgやtifはレプリカと言ってもよい。だから、rawはカメラマンにとって値段がつけられないほどの価値があるのは間違いない。何度も言うが、rawは劣化しない上にどんなファイル形式にも対応できるのである。

さて、ここからが本題。

そんな貴重なrawデータを送ってくれと言われた。詳しくは書けないが、取引先でもなんでもないところから。カメラをフィルムからデジタルに移行して20年経つが、初めてのことで面食らってしまった。

「rawを送ってくれ」と臆面もなく言ってのけることから、写真やデータに対する浅はかすぎる意識を垣間見たような気がした。そんなこと、できるわけがない。