永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

飲食店を守るのは、文化を守ることである。

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年の瀬も押し迫ってきた。

遠い過去を振り返ることはあまりないが、今年起こったことが走馬灯のように頭の中を駆け巡る。

おそらく、どの業種も新型コロナに振り回された1年だったと思う。仮に新型コロナのおかげで業績を伸ばしたとしても、素直に喜べないだろう。

私はどうか。グルメ取材がメインの私にとって、飲食店の皆様と一蓮托生であることを思い知らされた。実際、4月と5月はほとんど仕事がなかった。

新型コロナの感染が一時的に収まっていた頃、忘新年会こそは!と期待していただろう。私も仕事で忘新年会のコース写真を撮らせていただいた。でも……。

飲食店の皆様の落胆ぶりを想像しただけで悲しくなってくる。飲食店だけではない。あまり報じられていないが、食材やお酒の卸業の方も間違いなく大打撃を受けているだろう。

第一波のときは、テイクアウトのメニューを取材させていただいた。Webメディアだったので、どこまで反響があったのかはわからない。が、お店の方は大変喜んでくださった。

そして、この第三波。いったい、私に何ができるのだろう。しかも、連載がどんどん打ち切りになっている状況で。マイナス要素は山ほどある。

最近、あるお店の方からメッセージをいただいた。そこには、

「今、飲食店は間引かれる状況にある」とあった。少なくとも、公私に関係なく、私と関わったお店が間引かれるようなことがあってはならない。

飲食店を守るということは、文化を守ることである。メディアは街から飲食店が消えていくのを黙って見過ごしてはならない。今一度、この直面している危機にメディアは何を為すべきか考える必要がある。

私は写真を撮り、文章を書き、喋ることしかできない。私の拙い写真や文章、話で世の中が少しでも明るくなれば、そんなに嬉しくてありがたいことはない。

が、それは私という存在を必要としてくれている人がいるから成り立っているわけである。誰からも必要とされなくなったら、それが「間引かれる」ことなのだろう。

私は絶対に諦めない。前にも書いたが、失った分だけ新しい何かが得られるのだと信じている。守りに入った時点でそれは後退を意味する。前へ進むために攻めるのだ。