永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

パジャマ姿で卒業式に出席する女の子。

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私が小学生の頃、卒業式は中学校の制服を着て出席した。それが当たり前だと思っていたが、他の地域では違うらしい。卒業式用にスーツを買ったり、貸衣装店で借りたり。また、中学校の制服を購入すると無料または割引価格で借りられたりするそうだ。

 先日、宮崎グルメをアテンドしてくれた友人からこんな話を聞いた。彼の娘さんは今年中学校へ入学したそうだ。私の小学生時代のように、学生服やセーラー服で出席する子どももいるようだが、それはごく一部らしい。

ヘタをすると、「あの子の家は卒業式に着る服を用意するお金がない」と思われかねない。親にとっては小学校の卒業式でさえも大きな負担となる。友人の話には続きがあった。というか、ここからが本題である。

「卒業式にね、パジャマで来た子がいたんですよ。しかも、女の子でした」と、友人。

耳を疑った。その光景を心に思い浮かべて、卒業式にパジャマで来た女の子の気持ちを考えた。周りの友達は一生の思い出にと着飾っているのに、自分は……と、どれだけ惨めな思いをしたのだろう。辛かっただろう。卒業式に出ないで帰りたかっただろう。本当に胸が締め付けられる。

また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、小中学校が一斉休校になった頃のこと。友人の近所に住む小学生の女の子がお昼時に一人路上で遊んでいるのを毎日見たという。その女の子の命を繋いでいたのは学校の給食だったのだ。

その女の子は、いつも路上で顔を合わせる友人に「お腹は空いていません」と言う。親の名誉を守っているのだ。

パジャマ姿で卒業式に出た女の子と、お昼時に路上で遊ぶ女の子。いずれも親が悪い。絶対に。それは明らかである。しかし、親が悪いと決めつけるだけでは解決しない。親が自身の無責任ぶりを認めて、更生するのを待っている間に彼女たちは死んでしまうからだ。

行政からの支援は、仕組みを知っている者しか利用することができない。ネグレクトをする親が知っているとは思えない。ひと昔前と比べれば児童相談所も努力しているとは思う。でも、まだまだ至らない。と、なると、民間の子ども食堂くらいしかない。とはいえ、まだまだ数が少ない上に民間での運営ゆえに少ない予算で回している。

そんな中、Twitterでこんなツイートを見た。

 奈良市にあるとんかつ店『まるかつ』が実施している「まるかつ無料食堂」である。これを見て、涙が出た。おそらく、ここも新型コロナで大きな打撃を受けていると思う。それでも懸命に取り組んでいるのだ。なかなかできることではない。

子ども食堂も含めたすべての飲食店に対して、貧困児童への取り組みを行っている店に国が補助金を給付するなどの支援はできないものだろうか。この国に資源はない。唯一、あるとしたら人材である。お金のある、なしで子供たちの未来が左右されてはならないのだ。

友人は貧困児童の問題に取り組む団体に毎月の給料から寄付しているという。私も見習おうと思う。と同時に私にできることを考えようと思う。