永谷正樹、という仕事。

フードライター、カメラマンの日常を書き綴ります。

チャーラー納め。

今日は三河方面へ取材。せっかく遠出するなら、今年最後のチャーラーの旅を楽しもうと思い、周辺をリサーチ。ヒットしたのが、半田市にある『チャーラー飯店』。皆様もご存知の通り、台湾まぜそば発祥店『麺屋はなび』の総大将、新山直人さんプロデュースの店だ。

到着したのは、開店5分前の11時20分。店の前には開店を待つ客が8人ほど並んでいた。オープンして5ヶ月が経つというのに、やはり、人気なのだ。

店内はカウンター席がメイン。開店の11時半となり、カウンター席を向かって右から詰めて座るように案内された。

平日のランチタイム(14時まで)限定で、麺類(A中華そば、B台湾ラーメン、C汁なし台湾)と半チャーハンのセット、つまりチャーラーがあったので、私はAを注文した。

7、8分ほど待って目の前に運ばれたのがこれ。シンプルな中華そばとシンプルなチャーハン。もう、見るからにチャーラー。これぞチャーラー。これをチャーラーと呼ばずとして何と呼ぶのか。えっ?半チャンラーメン?どっちでもいいわ!

これが中華そば。ちなみに単品では800円。見た目こそ、いかにも昔ながらの中華そばだが、食べてみるとかなりブラッシュアップしていることがわかる。

例えば、油。写真から伝わりにくいが、かなりオイリーなのだ。味付けも町中華のラーメンと比べると、パンチのある味わいに仕上げている。町中華ではなく、ラーメン店のラーメンなのだ。わかるかなぁ。

チャーハンは卵に多めの油を吸わせて、ご飯全体に馴染むように作られている。このあたりのテクニックは新山さん直伝なのだろう。ゆえに、ふんわり、しっとりした食感が楽しめる。チャーハンはそこらの町中華よりもはるかに旨かった。チャーハン単品(700円)を注文する客もいたが、それも納得だ。

チャーラーとしてはかなりレベルが高いのは間違いないが、開店前の行列といい、オイリーな中華そばといい、どこか違和感を覚えた。

あっ、これは喫茶店に例えるとわかりやすいかもしれない。ここ数年、レトロな喫茶店をイメージしたレトロ風喫茶店が人気を博している。それと同じものを感じた。

レトロ風とレトロとはまったく違うわけで、町中華風と町中華も別物なのである。40年、50年と代替わりして続いている町中華、あるいは喫茶店には、人々に愛される理由がある。それはマーケティングで確立できるものではない。

客の声に耳を傾けながら、今できる最善の味やサービスを積み重ねてきた結果が現在の子がなのだ。今後も町中華のブームが続いていけば安泰だろうが、そうでなければ、これから10年、20年と続いていくだろうか。

私としては、『チャーラー飯店』がきっかけとなり、訪れた客が老舗の町中華にも足を運ぶようになってほしい。そのためには単なるブームで終わることなく、末永く続けてもらいたいと願うばかりである。